インプラント治療の年齢制限は?20歳未満・70歳以上は医師に確認を

インプラント治療の年齢制限は?20歳未満・70歳以上は医師に確認を

インプラント治療に年齢制限はありませんが、特に高齢者の方は慎重に検討が必要になります。

一般的な治療の対象年齢は20~70歳ではありますが、例えば18歳未満だったとしてもインプラント治療を受けることができるのか、70歳以上の方はどのようなことに注意が必要なのかについて解説しましょう。

また、年齢以外の問題があって治療を受けられない方もいるので、どのようなケースがあるのかご紹介します。

インプラント治療における年齢制限について

インプラント治療の年齢制限は「20~70歳」が一つの目安です。しかし20歳未満の方や70歳以上の方がインプラント治療を受けられないというわけではありません。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

20歳未満の場合

何らかの理由で歯が失われてインプラント治療を受ける場合は、顔の成長にあわせた治療計画が必要となるため、20歳以上の場合より治療の難易度が上がります。

20歳未満の方は健康な歯が残っている方が多く、そもそもインプラント治療を必要とするケースが少ないことも年齢制限が設けられている理由でしょう。

参照:井下田 繁子, 宮良 美都子, 小野 美紀子, 加藤 仁夫, 前田 隆秀「(PDF)若年者のインプラントに関する実態調査」小児歯科学雑誌45(1)2007

70歳以上の場合

70歳以上の場合は体力や免疫力などの問題が治療に関係してきます。70歳になったら治療が受けられないのではなく、高齢になると若いころに比べて手術のリスクが上がるため、適していないとされるのです。70歳以上でも次のような治療が受けられる条件を満たし、リスクが少ないと判断された場合にはインプラント治療を受けられます。

  • 骨の量が十分であること
  • 全身疾患がないこと
  • 重度の歯周病がないこと
  • 著しく知能や運動機能が低下していないこと

高齢者の方がインプラントを受けるための条件は上記のようになりますが、さらに詳しく知りたい方は『高齢者でもインプラント治療は可能?条件やメリットを解説』で解説しているのでぜひ参考にしてください。

18歳未満はインプラント治療を受けられない?

8歳未満はインプラント治療を受けられない?
基本的に18歳未満の方はインプラント治療を受けることができません。これは、すでに成長期を過ぎ、体の成長が終わっていることがインプラント治療を行ううえで重要となるからです。

インプラント治療では、顎の骨に穴を開けて土台となるインプラント体を埋め込むのですが、成長途中でこの治療を行ってしまった場合、噛み合わせがおかしくなってしまう可能性があります。更には顔にゆがみが生じるなどのリスクもあるので、治療には適していません。

インプラント治療が完了するまでには長い期間がかかるのですが、治療中に歯や顎が予測できない形に成長してしまった場合には、当然ながら治療計画も狂ってしまうので、ほとんどのクリニックでは18歳未満の治療は断られます。

中には18歳未満でも治療可としている歯科医院がありますが、その場合は事前の検査などで、確実にすでに体の成長が終わっているか判断しなければなりません。

しかし18歳未満で体の成長が終わっているケースはほぼないと考えられるため、20歳以下の方の中でも特に、18歳以下はインプラント不可とされるのが一般的です。このような理由から18歳未満の方はインプラント以外の治療を検討することになるでしょう。

また、18歳を過ぎていれば成長し終えている方がほとんどではありますが、個人差があるため、人によっては18歳を過ぎていても治療が難しい場合があります。

年齢以外の要因でインプラント治療を受けられないケースとは?

年齢以外の要因でインプラント治療を受けられないケースとは?
一つの目安である20~70歳に該当していたとしても、すべての方がインプラント治療を選択できるわけではありません。年齢制限以外の要因としては、以下のような理由で治療が難しくなってしまうことがあります。

顎の骨が弱い/不足している

インプラント治療では顎の骨に土台を埋め込み支えとするので、その顎の骨がしっかりしていなければ治療ができません。骨の状態が悪いままで無理に治療しても土台がぐらついてしまい、抜けたり、炎症を引き起こしたりしてしまう恐れがあるのです。

特に高齢の方は若い方に比べて骨が弱かったり不足していたりすることがあります。検査を受け、治療を行う上で問題がないか確認してもらいましょう。事前に骨を増やす治療を行うことによりインプラント治療が選択できる場合もあります。

妊娠中である

妊娠してつわりがあるとき、お腹が大きくなって横になると圧迫感があるときなどはインプラント治療に向きません。安定期であれば問題ないとしているクリニックもありますが、時期について相談してみましょう。

妊娠中・授乳中の方はご自身のことはもちろん胎児への影響も不安でしょうから、さらに詳しく解説している『インプラント治療は妊娠中・授乳中でも可能?伴うリスクとは?』のページを是非参考にしてください。

健康状態が悪い

健康状態が悪く、インプラント治療が身体にとって負担になる、何かしらの悪影響をもたらすと判断された場合は断られることが多いです。全身の健康状態を確認するため、事前に様々な検査を行います。

口腔内環境が悪い

口腔内環境が悪化していて虫歯や歯周病になっている場合、先にそれらの治療を行わなければなりません。口腔内環境が悪いまま治療をすると、インプラントが定着する際に何かしらの悪影響がある可能性も考えられるからです。

また、歯周病菌が増殖することによって発生するインプラント歯周炎と呼ばれるトラブルに繋がってしまう恐れもあるので、虫歯や歯周病などは必ずインプラント治療前に治療する必要があります。

持病がある

持病の種類によって変わるのですが、循環器疾患呼吸器、消化器、代謝・内分泌系などの全身疾患を抱えている方は治療が難しい場合があります。持病をうまくコントロールできた場合にはインプラント治療ができるケースもあるのですが、状態によっては難しいこともあるので、持病の主治医や歯科医院の医師とよく相談をしながら治療について検討しなければなりません。

治療に悪影響をもたらす薬を服用している

薬の中でも血をサラサラにするためのものを飲んでいる場合は手術中の出血が止まらなくなるリスクがありますし、骨粗鬆症の薬を飲んでいる場合は骨の代謝に影響してしまう可能性があることから手術が難しい場合があります。

持病などがあって薬を服用している場合は、治療を受けても問題ないか事前に医師に相談しましょう。

喫煙者である

タバコを吸っている方はインプラント治療が向いていません。特にヘビースモーカーの場合は治療の失敗率が高いため、治療を断られることがあります。

インプラント治療が受けられない場合の選択肢

インプラント治療が受けられない場合の選択肢
年齢制限やその他の理由でインプラント治療が受けられない場合、その他の選択肢として考えられるのが「入れ歯」や「ブリッジ」です。この2つの選択肢について特徴を簡単に解説します。

入れ歯

「入れ歯」は保険適用であり治療費用が安価で、インプラントのような手術が不要であることから手軽に受けられる義歯治療です。しかし機能性や審美性はインプラント治療より劣ります。ズレや異物感が気になったり、咀嚼機能が低下することによりストレスを感じることもあるでしょう。

また部分入れ歯は健康な歯にバネをかけて装着することから、健康な歯へのダメージが増えることも懸念されます。

ブリッジ

「ブリッジ」も入れ歯と同じように保険適用で、手術が不要である義歯治療です。入れ歯よりも安定性があり異物感や違和感を抱くことも少なく、見た目の美しさも入れ歯より勝っています。

ただし隣接する歯を削らなければならなかったり、フックをかけることにより健康な歯への負担を強いることがあり、健康な歯の喪失を早めてしまうこともあります。またフックをかける隣の歯がない場合は適用できません。

治療が受けられるかどうかを直接医師に確認を

治療が受けられるかどうかを直接医師に確認をインプラント治療には年齢制限はないため、70歳以上だったとしても健康状態や体力面で問題がなければインプラント治療を受けられることもありますし、20歳以下も同様です。

年齢はあくまで一つの目安ではありますが、20~70歳に該当しない場合は何かしらのリスクも考えられるので、事前に良く医師に確認をしてみてください。

対象年齢の方も持病や治療が難しい理由がある場合は、考えられるリスクや注意点などについて把握したうえで治療を検討してみましょう。