失ってしまった歯を補うためには、インプラントや入れ歯、ブリッジなどの選択肢があります。
どれが自分に合っているのか考える際には、それぞれの違いを比較してしっかり理解しておくことが重要です。
「インプラントの特徴や、インプラント以外の治療についてもおさえておきたい」という方のために、それぞれの特徴や違いについて解説します。
インプラント・入れ歯・ブリッジそれぞれの特徴
インプラント、入れ歯、ブリッジはいずれも何らかの理由によって自分の歯を残せなくなった場合に選択される歯科治療です。
それぞれどのような治療法なのかから確認しておきましょう。特徴やメリット、デメリットについてご紹介します。
インプラント
インプラント治療は、まず歯を失った部分の歯茎を切開し、あごの骨にドリルで穴を開けて人工歯根であるインプラント体(フィクスチャー)を埋入します。
そのフィクスチャーにアバットメントと呼ばれる部品を用いて、上部構造である人工歯を取り付ける治療です。
あごの骨に人工歯根をしっかりと固定できるため、まるで自分の歯と同じように扱えます。審美性に優れているのもメリットです。
ただ、外科手術が必要であるため、持病があり状態が悪い方は選択できないことがあります。
インプラント体を固定するためのあごの骨の量が足りていない場合、先に骨を増やす治療も必要です。
治療費にも注意しておきましょう。保険が適用されないため、治療費が高額となってしまいます。
ただ、審美性や機能性に優れていることから、治療費の問題を含めてみてもメリットが大きい選択肢です。
入れ歯
入れ歯には、部分入れ歯と総入れ歯があります。
部分入れ歯の場合、他の歯にバネをかけて固定する形となるため、インプラント治療のように外科手術は必要ありません。
また、保険が適用になった場合、費用を抑えて治療を受けられるのもメリットといえるでしょう。
ただ、違和感が強いため、食事を楽しめない、痛みを感じるといった方も多いです。
かむ力も弱く、総入れ歯になってしまうと天然歯と比較して10~20%程度しかありません。
特に若い方の場合、その先何十年にもわたってかむ力が弱い状態が続くと大きなストレスになってしまうのではないでしょうか。
費用面では優れていますが、審美性、機能性ではインプラントのほうが優れています。
ブリッジ
ブリッジは失った歯の前後にある歯を削り、そこを土台として連結した人工歯を設置する治療法です。
審美性に優れており、自分の歯とそれほど変わらないのがメリットだと言えるでしょう。また、かむ力も入れ歯より強いです。
保険適用で安く治療が受けられるのもメリットではありますが、前後の歯を支えとするため、その歯が健康であっても削って人工歯を取り付けなければなりません。
また、支えとなる歯がない部分には設置できませんし、多くても1~3本までの欠損にしか対応できないのがデメリットです。
インプラント・入れ歯・ブリッジの違いを徹底比較
それぞれの違いを表でまとめました。比較するのに役立ててみてください。
インプラント | 入れ歯 | ブリッジ | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
安定性 | ◎ | 適切なメンテナンスで半永久的に使用できて安定性も高い | △ | 定期的に調整や作り直しが必要 | △ | 安定しているが最長8年ほどしか持たない |
違和感の有無 | ◎ | 全くなし | × | 違和感が強く異物感もある | ◯ | ほとんどない |
かむ力 | ◎ | 天然歯と同様 | × | 天然歯を100として部分入れ歯が30~40%、総入れ歯が10~20%ほど | ◯ | 天然歯を100として60%ほど |
審美性 | ◎ | 優れている | × | 劣る | ◎ | 優れている |
他の歯への影響 | ◎ | なし | △ | バネをかけられる歯に負担がかかる | × | 支えとなる歯を削る必要がある |
治療本数 | ◎ | 制限なし | ◎ | 制限なし | × | 1~3本までが目安 |
手術の有無 | × | 外科手術をしなければならない | ◎ | なし | ◎ | なし |
治療期間 | × | 最短2ヶ月〜最長1年ほど、7~8ヶ月程度が目安 | △ | 部分入れ歯が2ヶ月ほど、総入れ歯が2~3ヶ月ほど | △ | 約2週間 |
費用 | × | 保険が適用されない自費診療であり、相場は約32万円~40万円 | △ | 保険相場が5千~2万円、自費相場が15~80万円 | ◯ | 保険相場が1~2万円、自費相場が5~15万円 |
それぞれ特徴が異なり、メリット、デメリットも違います。インプラントは、審美性や機能性に注目したい方に向いているといえるでしょう。
一方で、欠損している歯がそれほど多くなく、費用を抑えたい方は、部分入れ歯やブリッジも検討できるでしょう。
インプラントとは異なり保険が適用可能です。ただし、保険適用となるものは高い審美性、機能性は期待できません。
何を重視するのかによってどれが適しているか変わってくるため、医師に相談しながら検討してみるのがおすすめです。
総合的に優れているのはインプラント
インプラント治療の特徴や、入れ歯、ブリッジといったインプラント以外の治療について比較しながら解説しました。
総合的に見ると、やはり優れているのはインプラント治療です。
費用がかかってしまうことや外科手術が必要であることを除けば、とても魅力的といえるでしょう。
ただ、持病があったり費用の関係でどうしてもインプラント治療を選択できなかったりする方は、その他の治療についても検討してみてはいかがでしょうか。