インプラント治療は、一般的な虫歯治療などと比べて時間がかかります。そのため、どれくらいの回数通わなければならないのかについて事前に理解しておいたほうが良いでしょう。
そこで、各種検査やカウンセリング、インプラント手術、メンテナンスでそれぞれどの程度通わなければならないのかについて解説します。1つの参考にしてみてください。
カウンセリングの内容と通院回数
インプラント治療は外科手術を必要とする治療であり、事前に詳細な治療計画を立ててから取り組んでいかなければなりません。精密検査や問診でお口の中の状態や、全身の状態を把握したうえで治療を行っていくことになります。
それではまず、インプラント治療の最初のステップであるカウンセリングの内容や、必要となる通院回数について見ていきましょう。
内容
カウンセリングでは、治療方針を決めていくため、以下のようなことを聞かれたり、説明されたりします。
- アレルギーの有無
- 全身疾患や歯周病などの有無
- 費用の説明
- 治療内容の説明
- 診断結果の説明
- 通えるタイミングについての確認
インプラント治療は口内の状況だけでなく、全身疾患の有無により適応の可否が決まったり、治療方針が変更になったりすることがあるため、カウンセリングは非常に重要です。
インプラント治療をスムーズに終わらせるためには、医師からの説明を聞くだけでなく、患者自身の疑問や不安、治療中のスケジュールを話しておくことも大切です。たとえば治療期間が長くなる関係もあり、途中で出張の予定があるなどして通えなくなる可能性がある場合は、そういった事情についても相談しておく必要があります。
不安なことがあれば遠慮せず、カウンセリングの際にしっかりと質問しておくようにしてください。カウンセリングの内容や費用に関しては『インプラント治療前カウンセリングの重要性と費用相場を解説』でさらに詳しく解説していますので、こちらのページを参考にしてカウンセリングに備えてください。
通院回数
一般的にカウンセリングの通院回数は2~3回程度、通院期間は2日~2週間となっています。1回のカウンセリングは30分から1時間程度が一般的です。
インプラント治療は外科手術を必要とする治療であり、事前に詳細な治療計画を立ててから取り組んでいかなければなりません。精密検査や問診でお口の中の状態や、全身の状態を把握したうえで治療を行っていくことになります。
術前検査の内容と通院回数
カウンセリングではヒアリングだけでなく術前検査も行われます。インプラント治療は外科手術を必要とする治療であり、事前に詳細な治療計画を立ててから取り組んでいかなければなりません。
精密検査や問診でお口の中の状態や、全身の状態を把握したうえで治療を行っていくことになります。それではインプラント治療術前検査の内容と、通院回数について詳しく見ていきましょう。
内容
事前の精密検査で行われることが多いのは、以下のような検査です。
- CT撮影
- レントゲン撮影
- 口腔内検査
- 血液検査
特に口の周りの骨がどのようになっているのか立体的に捉えられるCT検査は重要性が高く、CT検査で得た画像からシミュレーションを行って治療計画を立てていきます。インプラントの挿入位置もCT検査の画像から判断されるため、インプラント治療前に必ず実施される検査です。この他、必要に応じてアレルギー検査や尿検査、血圧測定が行われます。また噛み合わせを確認するために歯の模型も作成されるでしょう。
このようにインプラント治療を始める前にはさまざまな検査が行われますが、術前検査の内容についてさらに詳しく知りたい方は、『インプラント治療前の検査内容とかかる費用相場を解説』で各検査について解説していますので、カウンセリングを受ける前にぜひご覧になっておいてください。
通院回数
術前検査はカウンセリングとともに行われるので、通院回数もカウンセリング同様に2~3回です。通院期間も同じく、2日~2週間となります。
カウンセリングの通院回数に術前検査の通院回数が加算されるわけではありませんので、大きな負担にはならないでしょう。
インプラント手術の内容と通院回数
それでは次に、実際にインプラント治療を開始した後の手術内容と通院回数について確認してきましょう。
内容
インプラント治療の具体的な内容は次のとおりです。
- 人工歯根埋入手術
- 人工歯のセット
インプラント治療は手術を行った後、埋入したインプラントの定着を待つため3~6ヶ月ほどの待機期間を経て、インプラントが定着したら人工歯をセットするという流れとなります。
内容を一覧にすると非常にシンプルですが、インプラント治療を行うためにその他の治療が必要となることもあり、その場合は次のような治療がインプラント手術前に実施されるはずです。
- 歯周病治療
- 虫歯治療
- 骨移植
- 骨造成手術
- 骨誘導再生
- 歯茎の移植手術
インプラント治療をする前にあごの骨を増やすための骨造成術が必要になるケースがあり、こちらの場合は更に通院回数、通院期間ともに増えることになります。
またインプラント治療前の口腔内の状態が良くない場合、虫歯治療や歯周病治療などから始めなければなりません。これらの治療が必要になった場合は更に通院回数と通院期間が増えることになります。虫歯や歯周病の状態だと口内に多くの菌が存在しており、インプラント治療の失敗に繋がってしまう恐れがあるためです。
これらの治療が必要であるかはそれぞれの口内の状況により変わります。インプラント治療の基本はシンプルですが、これらの治療が必要となる場合は通院期間・通院回数ともに増加することに注意してください。
通院回数
インプラント手術については、手術を1回で済ませる「1回法」と2回行う「2回法」のどちらで治療するかによって通院回数が変わります。1回法と2回法、さらにフラップレスインプラントという術式ごとの通院回数について解説していきます。
1回法の場合
1回法の場合、通院の回数は1~2回程度、通院の期間は1日~2週間程度が目安です。1回法は手術が1回で済むということもあり、通院の回数、通院期間ともに少なくなります。
ですが、すべての人が1回法を選択できるわけではありません。あごの骨や、状態によっては2回法しか選択できないケースがあるので、自分の場合は1回法で対応可能か確認してみると良いでしょう。
2回法の場合
2回法の場合、通院の回数は4~6回程度、通院の期間は3~7ヶ月程度をひとつの目安にしてみてください。どの程度の通院回数、通院期間が必要になるのかについては術式や人によって異なるので、精密検査を受けたあとに大体の目安について確認してみましょう。
フラップレスインプラント治療の場合
インプラント治療ではできる限り切開する範囲を小さくし、体への負担を抑えることができる「フラップレスインプラント治療」と呼ばれるものもあります。こちらの場合は、従来の治療法より通院回数が少なく通院期間も短く済むケースが多いです。
通常のインプラント手術では術後約3週間で抜糸が行われますが、フラップレスインプラント手術では抜歯が不要です。そのため少なくとも1回、通院回数が少なくなります。
またフラップレスインプラント手術では歯肉の切開が伴わないため、手術の時間も短縮化される傾向です。インプラント治療において通院回数をできる限り少なくしたい方にとって、フラップレスインプラント治療は魅力的な術式だと言えるでしょう。
術後メンテナンスの内容と通院回数
インプラント治療は、手術が終わったらそれで完了ではなく、手術後も定期的に通い、メンテナンスを受ける必要があります。定期メンテンナンスは長期的に受けなければならないものなので、事前にどのような内容のメンテナンスが行われるのか、通院回数とともに知っておきましょう。
内容
- 虫歯や歯周病のチェック
- インプラント定着のチェック
- 噛み合わせのチェック
- レントゲン検査
- ブラッシング指導
- 歯のクリーニング
これらのメンテナンスの詳しい内容は『インプラントのメンテナンス方法!歯科医院で受ける場合と自宅で行う方法を紹介』にて解説していますので、ぜひこちらのページも参考にして長期的な通院計画を立てておいてください。
通院回数
インプラント治療後の通院回数は、歯科医院が推奨する定期メンテナンスの回数により変わります。多くの歯科医院で年に3回~半年に1回程度で通うことになるようですが、状況によっても異なるため、どのタイミングで通うべきかは、歯科医院に相談してみましょう。
普段自分で行うブラッシングだけではすべての汚れを取り除くことは難しいため、歯科医院でしっかり汚れを落としてもらう必要があります。また、インプラントを失ってしまう大きな原因であるインプラント周囲炎などが発生していないか確認してもらい、治療が必要だった場合はすぐに改善のための治療に取り組まなければなりません。
定期メンテナンスはインプラントを使い続けている限り、ずっと受け続けたいものです。そのためトータルの通院回数を算出することは難しいですが、定期的にメンテナンスを行うことはインプラントの寿命を長くすることにもつながるので、必須だと考えておきましょう。
インプラント治療の通院回数は個人差が大きい
インプラント治療をした場合、どれくらいの回数、期間通わなければならないのかについて解説しました。全く虫歯や歯周病がなく、あごの骨も十分な状態から始めるのと、そうでない場合とではインプラント治療にかかる回数が変わってきます。
どれくらいかかりそうかについては、事前に行う精密検査である程度判断が可能となっているので、直接医師に確認してみましょう。何度も通院することになるので、自分にとって通いやすい歯科医院を選択することも重要です。