インプラントの治療費は経費で落ちる?医療費控除についてもわかりやすく解説

インプラントの治療費は経費で落ちる?医療費控除についてもわかりやすく解説

インプラントの治療は保険が適用にならないため、費用が高額です。

そこで、法人の方や個人事業主の方の中には、経費で落ちるのではないかと考えてしまう方もいるでしょう。

ここでは、インプラント治療にかかる費用は経費で落ちるのかについて解説します。

また、インプラント治療を受ける場合に活用したい医療費控除についても参考にしてみてください。

インプラントの治療費は経費で落ちる?

インプラントの治療費が経費で落ちるのであれば、ぜひ治療を検討したいと考えている方もいるでしょう。

しかし、結論から言ってしまうとインプラント治療費は原則経費で落ちることはありません。

これは、法人でも個人事業主でも同じです。治療で支払った費用というのはあくまで個人で支払う費用です。

従業員がいる個人事業主が義務づけられている健康診断の費用を負担した場合には経費とすることができますが、インプラントは対象外なので注意しましょう。

ただ、インプラントの治療費は経費で落ちることはありませんが、医療費控除の対象にはなります。

インプラントの治療費は医療費控除の対象になる

インプラントの治療費は医療費控除の対象になる
インプラント治療でかかった費用は医療費控除の対象なので、こちらは忘れることなく申請をしましょう。

医療費控除とは、1年間に支払った自分と家族のための医療費の一部を、所得から控除してもらえる仕組みのことです。そのため、所得税と住民税の軽減につながります。

インプラント治療は自由診療(自費診療)となり、保険は適用外です。

そのため、治療費が高くついてしまうので、医療費控除を活用して少しでも費用負担を抑えるようにしましょう。

なお、デンタルローンや分割払いでインプラントの費用を支払っている場合も控除の対象です。

医療費控除の対象となる範囲

医療費控除の対象となる範囲
インプラントの治療にかかった費用だけでなく、治療の通院のために支払った交通費についても医療費控除の対象となります。

交通費については、自家用車で通院した場合にかかるガソリン代や駐車場代は対象となりません。

基本的に電車やバスといった公共交通機関が対象です。

医療費控除の対象となる人

医療費控除の対象となるのは、以下のうちいずれかに該当する方です。

  • 1年間にかかった医療費が10万円以上の方(家族の分も含める)
  • 1年間の所得金額合計が200万円未満であり、医療費が所得金額の5%以上の方

これらに該当する方は、翌年に確定申告を行うことにより医療費控除が適用されます。

美容目的の場合は控除の対象外

注意しなければならないのが、同じインプラント治療でも美容目的で行ったインプラント治療は医療費控除の対象外となります。

そのため、控除の対象となるのは、やむを得ない事情などによって歯を失ってしまった場合のインプラント治療のみと考えておきましょう。

確定申告で医療費控除を申請する方法

ここでは、確定申告で医療費控除を申請する際に必要な書類や申請期間について解説します。

確定申告の必要書類を準備する

確定申告で医療費控除を申請するためには、以下の5つの書類を揃える必要があります。

  • 確定申告書
  • 医療費控除の明細書
  • 医療費通知書
  • 本人確認書類
  • 源泉徴収票(会社で年末調整をした方)

確定申告書に必要事項を記入し、必要な資料を添付して申請します。

確定申告書と医療費控除の明細書は国税庁の公式サイトからダウンロードできるほか、税務署でももらえます。確定申告書には1年間の所得を記入する欄があるため、源泉徴収票を準備しておきましょう。

医療費通知書は、医療保険者が発行する医療費の額などを通知する書類のことです。加入する健康保険組合などから送られてきます。医療費通知書を確定申告の添付書類として利用すると、医療費控除の明細書を書く手間が省けます。届いてから申請するまでに紛失しないようにしてください。

税務署に確定申告を提出する

医療費控除の明細書に必要事項を記入後、住んでいる地域の税務署に提出します。

書類の申告や提出方法は、郵送や税務署への持参のほか、インターネットで申告をする電子申告(e-Tax)があります。通常の確定申告の期間は2月16日~3月15日までですが、医療費控除の申請は2月15日以前でも行えます。

しかし、個人事業主の方などが確定申告に合わせて医療費控除を申請する場合は、通常の2月16日以降にまとめて申請すると手間がかからないでしょう。

また、医療費控除は、5年以内ならさかのぼって申請が可能です。万が一、医療費控除の申請が、その年の期限までに間に合わなかった場合でも、5年前までの医療費は後から申請できます。

参照元:国税庁
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/02.htm)

医療費控除を受ける際の注意点

医療費控除を受ける際の注意点
医療費控除を受ける際には、いくつか注意しておかなければならないポイントがあります。以下について事前に確認しておきましょう。

自分で申請しなければならない

インプラント治療を受ければ、それだけで自動的に医療費控除が受けられるわけではありません。自分で確定申告をしなければなりません。

そのため、確定申告の手続きについて事前に確認しておくようにしましょう。

確定申告の受付期間については、通常であれば2月16日~3月15日までです。

領収書の保管が必要

いつ、どこで、どのような治療を受けたのか証明するための領収証が必要です。

治療を受けた際は歯科医院で領収書をもらうはずなので、これを保管しておきましょう。

また、通院のために公共交通機関を利用した場合は、それを証明する領収書が必要です。

2017年から医療費控除を受ける際に領収書の提出は不要となりました。ただ、その代わりに明細書の提出が必要です。

領収書について提出する必要はありませんが、自宅で5年間保管しなければなりません。

「健康保険組合等から医療費通知が届くのでそれを提出すれば良い」と考えている方もいるでしょう。

ですが、自由診療であるインプラントは医療費通知に記載されないので注意が必要です。

金額を勘違いしないように注意

医療費控除の控除額を勘違いしてしまう方がいます。

まず、控除額の計算は「支払った医療費の合計-保険金などによって補填される金額-10万円」です。

※その年の総所得が200万円未満だった場合は(*)部分が10万円ではなく総所得額の5%となります。

例えば、医療費として60万円を支払い、保険金で5万円が補填されるとしましょう。その場合の計算式は「60万円-5万円-10万円=45万円」です。

この45万円が還付金として戻ってくるのではありません。45万円分の所得税が減り、その差額が還付金として返ってくる形となります。

所得税は所得額に応じて税率が変わってくるので、国税庁のホームページでご確認ください。

年末調整では対応できない

年末調整で医療費控除は受けられません。医療費控除は、会社の年末調整ではなく、自分で確定申告をして控除を受ける必要があります。年末調整で対象となる税額控除や所得控除は以下の通りです。

  • 生命保険料控除、地震保険料控除
  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 障害者控除
  • 寡婦(夫)控除
  • 勤労学生控除
  • 配偶者控除、配偶者特別控除
  • 扶養控除
  • 基礎控除
  • 住宅借入金特別控除(初年度は確定申告が必要)

参照元:国税庁
(https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/index/kyuyosyotokusya.htm#a000)

医療費控除以外に費用負担を減らす方法

医療費控除以外に費用負担を減らす方法医療費控除を申請することで、還付を受けられると解説してきましたが、ここでは、医療費控除以外で負担を減らす方法を紹介します。

高額療養費制度を使用する

高額療養費制度とは、医療費の家計への負担が重くならないように、医療機関や薬局で支払う医療費が1ヵ月の上限額を超えた場合、超えた分が支給される制度です。上限額や年齢、所得に応じて決められています。

しかし、高額療養費制度の対象となるのは、保険適用の医療費です。インプラントの治療で保険が適用されるのは、第3者が原因の事故や腫瘍で顎の骨を連続して3分の1以上失っている場合、生まれつき顎の骨を3分の1以上欠損していると診断された場合など限定的です。

さらに、インプラントの治療で保険適用されるには、当直体制が整備されているなどいくつかの条件が整った施設で治療を受けなければなりません。多くのインプラント治療は保険適用外なので注意が必要です。

参照元:一般社団法人 日本歯科インプラント器材協議会
(https://www.j-implant.jp/implant/fee.html)

分割払いを使用する

一括で支払うのが難しい場合は、デンタルローンを活用する方法もあります。デンタルローンとは、歯科治療費専用のローン商品で、歯科医院の窓口で手続きできます。

一般的なローンよりも手数料が低い傾向にあることが特徴です。また、支払回数を自由に選べるので、月々の返済額を低く抑えることも可能です。

ただ、デンタルローン未対応の歯科医院もあるので事前に確認が必要なほか、手数料が発生し総支払額が増えてしまう点には注意しましょう。

クレジットカード支払いでポイントをためる

歯科医院の中には、クレジットカードで医療費を支払えるところもあります。ポイント還元率が高いクレジットカードを利用すれば、支払った分だけポイントが還元されるので、わずかですが治療費を抑えることにつながるでしょう。

お金がないときのインプラント治療についてさらに知りたい方は『インプラントをしたいけどお金がない時はどうすればいいのか?』で詳しく解説しているので、こちらも参考にしてください。

医療費控除を忘れずに

医療費控除を忘れずに
インプラントの治療費用は経費で落ちるのかについて解説しました。

残念ながら経費扱いにすることはできませんが、医療費控除の対象にはなります。

インプラントの治療費は金額が大きくなることが多いため、適切に医療費控除を活用していきましょう。

自分で申請が必要となっているため、忘れないように注意が必要です。