インプラント治療による骨火傷とは?原因と対策について解説

インプラント治療による骨火傷とは?原因と対策について解説

インプラント治療は安全性が高いとされていますが、リスクが全くないわけではありません。例えば「骨火傷」と呼ばれる状態になってしまうことがあります。

ここでは、インプラント治療で注意したい骨火傷とはどのようなトラブルなのか、原因について詳しく解説します。また、骨火傷を起こさないためにどのような対策を取っておけば良いのかについてもまとめているので、ぜひ参考にしてください。

インプラント治療による骨火傷の原因

インプラント治療における骨火傷は「オーバーヒート」とも呼ばれるものであり、その名のとおり骨が火傷した状態のことをいいます。

インプラント治療では、インプラント体を埋入する際、歯肉を切開し、ドリルで穴を開けてスペースを確保しなければなりません。ドリルで穴を開けるときは摩擦によって骨が熱を持たないように水で冷やしながら行います。

ですが、この時の冷やし方が不十分だった場合などに発生しやすいのが骨火傷です。

あごの骨に埋入したインプラントは、周囲の骨と結合することによって土台がしっかりします。ですが、骨火傷の状態になると、インプラントと骨が正しく結合しません。場合によってはインプラントが抜け落ちてしまうこともあります。

骨火傷を起こさないための対策

骨火傷を起こさないための対策骨火傷は効果的な治療法がまだ確立されていないため、できる限り予防のための対策に力を入れることが重要です。

歯科医院で行うべき対策としては手術前に顎骨の状態を精密検査すること、治療を受ける本人ができる対策としてはインプラント手術経験の多い歯科医師へ相談することが挙げられます。

それぞれについて解説します。

手術前に顎骨の状態を精密検査する

事前に精密検査を行うことによって、骨火傷を防ぐ効果が期待できます。

そもそも、なぜ水で冷やしているにもかかわらず摩擦熱が発生してしまうのかというと、大きな原因は骨の硬さが事前に把握できていなかったり、ドリルの扱い方が正確ではなかったりするためです。

硬い骨を削るとなればドリルで穴を開けるのに時間がかかってしまうため、骨火傷のリスクが高くなってしまいます。歯科用CTなどを使い事前に詳細な検査ができていれば治療箇所に対して正しくアプローチできるため、骨火傷のリスクが抑えられるでしょう。

精密検査の結果次第では、骨造成や骨移植の手術についても検討しなければなりません。

インプラント治療前の検査について詳しくは『インプラント治療前の検査内容とかかる費用相場を解説』で解説しているので、こちらもご覧ください。

インプラント手術経験の多い歯科医師へ相談する

自身できる対策として、できればインプラント手術経験が豊富な歯科医師に治療を依頼しましょう。検査の結果から、どのように注意すれば骨火傷が抑えられるかについて正しい知識を持っている方が理想です。

過去の実績なども確認したうえで検討してみましょう。

インプラントに適した健康状態

インプラントに適した健康状態インプラント治療に適している健康状態があります。治療を検討している方は以下に該当するか確認してみてください。

歯周病になっていない

歯周病になっているとインプラント体を埋入するために必要な骨が足りなかったり、インプラント周囲炎と呼ばれる細菌感染によるトラブルが発生したりしやすくなります。重度の歯周病の場合、先に歯周病治療を行うのが一般的です。

顎骨の量や硬さがある

顎骨の量や硬さが不足していると、骨火傷のリスクが高まります。顎骨の量や硬さには個人差があるため、事前に精密検査を受け、判断してもらいましょう。不足していた場合はインプラント治療前にあごの骨を増やすための治療が必要になります。

上顎の骨量を増やす治療については『【上あごの骨を増やすインプラント治療】サイナスリフト・ソケットリフトとは?』で詳しく解説しています。

持病や喫煙習慣がないと理想的です。ただ、持病がある方は、必ずしもインプラント治療が受けられないわけではありません。重度の全身疾患がある場合は難しいですが、そうでない場合は歯科医師に相談してみましょう。

また、喫煙とインプラントには深い関係があり、歯周病リスクが高まったり、インプラントの定着率が低くなったりするなどのデメリットがあります。

できれば喫煙習慣がない方であれば良いのですが、そうでない場合は禁煙に取り組みましょう。

信頼できる医師に相談することが重要

信頼できる医師に相談することが重要インプラント治療で注意したい骨火傷について紹介しました。骨火傷を防ぐためには事前に精密検査を行って口内の状態をよく把握し、実際に治療する際も慎重に行うことが重要です。

これらについてはどちらも歯科医師に任せる形になってしまうため、治療を受ける方ができるのは、信頼できる医師・歯科医院選びです。

これまでにインプラント治療の分野においてどの程度の実績があるのか、骨火傷を防ぐためにどういった取り組みを行っているのかなどについて確認してみると良いでしょう。