インプラント治療前には様々な検査が行われます。X線を用いた検査では全体像を把握できますし、口腔内検査は歯周病や噛み合わせなどに問題がないか調べるために必要です。
歯科医院によってどのような検査が行われるのかが異なるので、インプラント治療前にどのような検査が必要か確認してみると安心できるでしょう。検査をする目的や各検査でわかることなどについてご紹介します。
インプラント治療前に検査をする目的は?
インプラント治療前に検査をするのは、現在の口の中の状態を確認し、最適な治療をするためです。インプラントは外科手術であるため、詳細な検査を行ったうえで治療を開始しなければなりません。
例えば、全身の健康状態に問題がある場合は、その問題を解決してからでなければ治療ができないケースもありますし、アレルギーの有無を確認したり、噛み合わせ、骨の形状などを調べたりする必要もあります。
また、インプラント治療前の検査はインプラントを顎骨内に埋入するにあたり、詳細なデータを取る目的も大きいです。具体的にどのような検査を行うのかについては歯科医院によって異なるので、治療を受ける歯科医院で確認してみてください。
インプラント治療前の検査一覧
インプラント治療前に行われる検査としては、問診、X線(パノラマ)写真、口腔内写真、CT写真とシミュレーションソフト、血液検査があります。それぞれについて詳しくご紹介します。
問診
最初に行われるのが問診です。問診では、患者が自身の健康状態について自己申告をする形となります。現在の健康状態やアレルギー、喫煙、飲酒などに関する生活習慣について確認されます。
持病があって通院している方などは、その持病に関する詳しい情報が必要です。飲んでいる薬などを確認しておきましょう。身体の状態によってはインプラント治療を受けられないようなケースもあります。そのため、情報は正しく伝えなければなりません。
また、極端に治療に恐怖を感じているなどあれば、この点も伝えておいた方が良いです。治療に対する不安や疑問、気になることなどがあれば、問診の際に確認すると良いでしょう。
X線(パノラマ)写真
一枚のフィルムの中に全体をまとめて撮影できる検査で、鼻から下顎までの全体像を把握するために必要な検査です。パノラマ撮影では画像にゆがみが伴ってしまうことから、細かく歯などの形や位置を診査する目的ではなく、全体像の把握目的で使用されます。
回転断層パノラマX線装置、口内線源パノラマX線装置の2種類があります。
口腔内写真
口の中の状態を確認し、歯周病や噛み合わせ、唾液などに何かトラブルがないかをチェックするための検査です。歯周病の方はインプラントの定着率が落ちてしまうため、先に歯周病の治療から始めなければなりません。
状態によってはインプラント治療と並行して歯周病の治療もできるケースがあるため、どのように治療を進めていくのかについても口腔内診査を行う中で確認します。
噛み合わせについても、インプラント治療を開始する前に行っておかなければならない場合があり、治療が必要かどうか判断するためにも口腔内写真などを用いて診断が必要です。唾液については、量や、質だけでなく、虫歯菌や歯周病菌の有無などを調べます。
CT写真とシミュレーションソフト
CT撮影を行うことにより、現在の口の中の状態を立体画像で確認できます。X線とは異なり、様々な角度から検査できるのがCTの特徴です。
CTは様々な角度からX線を当てて撮影することによって三次元の立体画像を仕上げる装置であり、口の中の状態を精密に把握するためにも欠かせません。
CTで撮影した結果をもとに、どのように治療を進めていくのかシミュレーションソフトを使って計画を立てます。
CTは、X線ではわからないような骨の厚みや神経の位置などを確認することができるため、インプラント治療をする際に神経を傷つけることなくて安心・安全に治療を進めていくためにも重要なものです。
治療で使われるシミュレーションソフトは3Dで画像が表示されるものであり、具体的にどのように治療計画を立て、どう進めていくのかについてコンピュータ上でシミュレーションできます。事前に詳細な治療計画を立て、その通りに進めていくことにより効率的に、確実な治療ができるのです。
血液検査
歯科医院で直接血液検査を行うこともあれば、健康診断などで行った血液検査の結果を提出するように求められることもあります。インプラントは外科手術が必要な治療でおり、外科手術を行った際のリスクなどを血液検査から判断することが可能です。
例えば、傷口が治りにくい、血が止まりにくいといったリスクを確認できます。
血液検査は必ずしも必要なものではなく現在の健康状態や医師の判断によっては不要なケースもあるのですが、健康状態に不安がある方や、治療にリスクがある方は血液検査を行うことが多いです。
万が一、血液検査で何か異常が見つかったとしても、インプラント治療が受けられないとは限りません。
状態によっては、先に身体の問題を解決してからインプラント治療を改めて検討し直すこともありますが、血液検査で問題があってもインプラント治療が可能なケースもあるため、医師に相談してみましょう。
治療前検査の費用相場はいくら?
治療前検査にかかる費用は医院や検査内容によって違いがあるものの、一般的には15,000円~50,000円程度です。各検査費用の目安は以下を参考にしてみてください。
- 口腔内の状態確認…1,500円~5,000円
- レントゲン撮影…5,000円~30,000円
- 歯型の模型の作成…2,000円~5,000円
- 血液検査…7,000円~10,500円
- 診断料…5,000円~15,000円
具体的にどこからどこまでが有料なのか、無料カウンセリングの範囲に含まれるのかは事前に確認しておくと安心できます。
事前検査時にセカンドオピニオンの利用も可能
詳細な事前検査を受けることにより、現在の状態が把握できるほか、どのようにインプラント治療を進めていけばいいのかが判断できるようになります。
医師から話を聞いた際に、他の医師の話も聞いてみたいと感じたのであれば、セカンドオピニオンを活用すると良いでしょう。
セカンドオピニオンを受けることによって、具体的な治療についてより深く理解できます。特にファーストオピニオンで医師の応対に疑問を感じた場合や、推奨された以外の治療方法について検討したい場合などにも役立ちます。
セカンドオピニオンを受けるには、ファーストオピニオンの医師に書類を準備してもらいましょう。セカンドオピニオンを受けるといい出しにくいと感じる方もいるようですが、セカンドオピニオンは一般的なものであるため、特に気にする必要はありません。
セカンドオピニオンについて詳しく知りたい方は『インプラント治療のセカンド・サードオピニオンの必要性について』で詳しくご紹介しているので、こちらの記事を参考にしてください。
丁寧に検査してくれる歯科医院だと安心
ご紹介したように、インプラント治療前には様々な検査が行われることになります。各検査を受けることにより、口腔内の状態が明確に分かるだけでなく、治療方針なども判断できるようになるので、非常に重要です。
それぞれの検査を丁寧に行ってくれる歯科医院で相談してみると良いでしょう。検査の結果についてもわかりやすく説明してくれる歯科医が理想です。
また、検査にかかる費用をについてご紹介しましたが、こちらはあくまで相場であり、詳細は歯科医院によって異なります。自分がインプラント治療を受けようと考えている歯科医院に直接確認してみてください。
場合によってはセカンドオピニオンの利用についても検討しながら、納得のいく治療が受けられるよう進めていきましょう。