すでに永久歯が生えそろう年齢であるのに乳歯が残ったままの方は「先天性欠如歯」の可能性があります。ここでは先天性欠如歯とは何なのかについてご紹介します。
また、考えられる原因や放置した場合の注意点も解説するので、先天性欠如歯かもしれないと考えている場合はぜひ参考にしてみてください。治療法としてインプラントが適している理由についても解説します。
生まれつき永久歯の本数が足りない「先天性欠如歯」とは
先天性欠如歯の「先天性」とは、生まれつきを意味しており、先天性欠如歯は生まれながら永久歯の本数が足りない状態のことをいいます。
通常、乳歯は20本、永久歯は28本あり、親知らずを含むと最大で32本です。これよりも本数が足りない場合、先天性欠如歯と判断されます。それほど珍しいものではありません。
数千人に1人などではなく、数十人に1人程度の割合で発生するものです。特に下あごに多く、中央から5番目の「第二小臼歯」や、前歯のすぐ横にある「側切歯」に多い傾向があります。
先天性欠如歯の原因
原因はいくつか考えられますが、まだ詳しい原因は明らかになっていません。妊娠中に起こった全身疾患や薬物の副作用、栄養欠如などが原因であるともいわれていますが、その因果関係ははっきりしたものではないのです。
また、進化とともに人間のあごは徐々に小さくなっているとされており、その変化に伴う退化とも言われています。
先天性欠如歯を放置するとどうなる?
先天性欠如歯である場合、適切な治療を受けないと歯並びが悪くなってしまうことがあります。先天性欠如歯の場合は永久歯が生えてこないため、乳歯が残った状態です。
乳歯は成長した永久歯によって押し出される形で抜け落ちるため、永久歯がなければ抜けずに残ってしまいます。
ですが、乳歯は永久歯に比べて弱いだけでなく、根が短く、エナメル質や象牙質が薄い特徴を持った歯です。丁寧なデンタルケアをしていても抜け落ちてしまうことがあるので、その状態を放置すると抜けた部分に周りの歯が寄ってきて歯並びが崩れてしまいます。
先天性欠如歯にはインプラント治療がおすすめな理由
先天性欠如歯に対応するための治療法として、特におすすめなのがインプラント治療です。その理由についてご紹介します。
天然歯のように噛める
インプラントは噛む力が非常に強く、天然歯とほとんど変わらないとされています。入れ歯やブリッジなどと比べても噛む力が強く、状態が安定すればおせんべいのような硬いものでも気にせず食べることが可能です。
そのため、生えてこない永久歯の代わりにぴったりだといえるでしょう。
審美性が高い
インプラントは審美性に優れており、見た目が自然です。他の歯と同じような見た目を実現できるので、審美性を重視した治療法を選択したいと考えている方にも向いています。
いかにも歯科治療をしたと感じられるような見た目になるのは避けたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
ですが、インプラント治療であれば、自分の歯とほぼ見た目が変わりません。自分から「ここをインプラントにした」と言わない限り、気づかれないような治療も可能です。そのため、自然な見た目にこだわりたい方にもぴったりです。
毎日取り外す必要がない
入れ歯の場合は毎日取り外して洗浄しなければなりませんが、インプラントはその必要がなく、自分の歯と同じように歯磨きで綺麗にできます。「取り外して洗浄するのは面倒だな」と感じている方にとっても魅力的です。
また、入れ歯のように簡単に外れることもないので「人と話をしている時に外れてしまったらどうしよう」といった心配もありません。
条件に当てはまれば保険の対象にも
基本的にインプラント治療は保険診療の適用外なのですが、先天性欠損歯の場合は保険が適用される可能性があります。対象になるのは、6本以上先天性欠如歯がある場合です。
先天性欠損歯は1~2本程度のケースが多いのですが、中には10本以上本数が足りない方もいます。6本以上先天性欠損歯がある場合は歯科医院で相談してみてはいかがでしょうか。
また、先天性欠損歯が連続して4歯あるいは5歯以上ある場合も認められます。なお、すべての歯科医院で公的医療保険を適用してインプラント治療が受けられるわけではありません。この点にも注意しておきましょう。
先天性欠如歯は歯科医院で相談を
先天性欠如歯は先天性のトラブルであるため、日々意識してきちんと歯磨きなどをしていても防げるものではありません。
乳歯が抜けて永久歯が生えてこない場合や、明らかに乳歯が抜けているべき段階で残っている場合は、一度歯科医院で相談してみることをおすすめします。
先天性欠如歯であった場合、ご紹介したように保険が適用されるケースもあるため、このあたりも含めて相談してみてください。