インプラント治療が原因で蓄膿症(副鼻腔炎)になるケースはあるのか?

インプラント治療が原因で蓄膿症(副鼻腔炎)になるケースはあるのか?

インプラント治療は一般的な虫歯・歯周病治療などとは異なり、外科手術を伴います。どのようなリスクがあるのか調べている方の中には、蓄膿症(副鼻腔炎)になる可能性があることを知り、不安に感じている方もいるのではないでしょうか。

ここでは、そもそも蓄膿症(副鼻腔炎)とは何なのか、どのような場合に副鼻腔炎になってしまうのか解説します。予防のための対策も参考にしてください。

蓄膿症(副鼻腔炎)とは

蓄膿症と副鼻腔炎は同じ病気であり、鼻の周りにある副鼻腔と呼ばれる空洞の粘膜部分が、何らかの原因によって炎症を起こしてしまうトラブルです。

副鼻腔は通常は空の状態ですが、炎症が長く続いて膿が溜まるような状態になると蓄膿症(副鼻腔炎)と呼ばれます。

代表的な症状は、ドロドロとした黄色い鼻水や鼻づまり、進行すると頭痛や顔面痛、嗅覚障害などを感じることが多いです。数日程度で治るものもあれば、3ヶ月以上続いてしまうようなものもあります。

インプラント治療が原因で副鼻腔炎になるケース

インプラント治療が原因で副鼻腔炎になるケース副鼻腔炎の主な原因は風邪による炎症ですが、以下のようにインプラント治療が原因になることがあります。

(前略)けれども、上顎洞という歯の真上にある副鼻腔にインプラント体が突き抜けて上顎洞炎を起こすことがあるのです。具体的にいいますと、インプラント治療でも、前段階で、上顎洞底の骨が薄い場合、インプラント体が固定できないので、骨を増殖させる上顎洞底挙上術というものを行います。けれども、上顎洞の粘膜の下に骨を入れる際に、上顎洞粘膜が破れて炎症を起こす場合があります。もう一つは、それがうまくいって、骨が増殖した後にインプラント体を入れるのですけれども、そのインプラント体が上顎洞の粘膜を突き抜けて、それで炎症を起こす場合があります。(後略)

出典:(PDF)ドクターサロン59巻9月号(8 . 2015):インプラント術前・術後の副鼻腔炎トラブル

治療中、治療後、口内のメンテナンス不足が原因になるケースについて解説します。

治療中

インプラントを埋入する際、ドリルや埋入するインプラントが上顎洞の粘膜を突き抜けた場合、細菌感染が起こって副鼻腔炎を引き起こすことがあります。

インプラントが上顎洞の粘膜を突き抜けてしまう大きな原因として挙げられるのが、あごの骨の厚みが不足しているケースです。骨が不足しているとインプラント治療ができないため、事前に骨を増やすための治療を行わなければなりません。

ですが、骨を増やす治療の最中に上顎洞の粘膜を傷付けてしまうケースもあります。

治療後

インプラント治療後に蓄膿症を発症することがあります。こういった場合、治療中に上顎洞の粘膜を傷付けてしまい、時間が経過してから細菌感染を引き起こしているケースが多いです。

細菌感染した場合、どの程度で症状が現れるかは個人差があります。

口内のメンテナンス不足

インプラント治療後に適切なメンテナンスができず、口内の状態が悪化してしまったために細菌感染につながることもあります。

例えば、虫歯や歯周病ができてしまった場合などです。口内が不衛生な状態になり細菌が繁殖すると、上あごから上顎洞に細菌が侵入し、副鼻腔炎につながってしまう可能性があります。

インプラント自体は虫歯になりませんが、だからといって適当に歯磨きを済ませてしまうのではなく、口内は常に清潔な状態にできるようにメンテナンスを行いましょう。

インプラント治療を原因とする副鼻腔炎を発症させないために

インプラント治療を原因とする副鼻腔炎を発症させないためにできる限りインプラント治療における副鼻腔炎のリスクを抑えるため、対策をとりましょう。医師・歯科医院を慎重に選ぶ、念入りなメンテナンスを継続するといったことが挙げられます。

実績のある医師・歯科医院を選ぶ

インプラント治療中に上顎洞の粘膜を傷付けたり破いたりすると副鼻腔炎のリスクが高まるため、実績のある医師と歯科医院を選ぶことが重要です。

心配な方は、治療中の副鼻腔炎リスクを防ぐため、どのような対策をとっているのかカウンセリングで聞いてみることをおすすめします。やはり実績が豊富な医師・歯科医院の方が多くのノウハウを蓄積しているため、リスクを抑えることにもつながるでしょう。

医師・歯科医院の詳細な選び方について知りたい方は『【インプラント治療前必読】信頼できる医師と歯科医院の選び方』で紹介しているので、こちらもご覧ください。

術後のメンテナンスを怠らない

治療後にメンテナンス不足による虫歯や歯周病などが悪化し、副鼻腔炎のリスクを高めてしまうことがあります。術後のメンテナンスは意識的に丁寧に行っていかなければなりません。

普段の歯磨きだけでは落としきれない汚れもあるため、定期的に歯科医院に通い、専門的なケアをしてもらうことが重要です。

ただ、基本は自分で毎日行う歯磨きが口の中の状態を大きく左右します。インプラント治療した歯はもちろんのこと、口の中全体を健康的に保ちましょう。

詳しいメンテナンス方法などについては『インプラントのメンテナンス方法!歯科医院で受ける場合と自宅で行う方法を紹介』で紹介しています。こちらも参考にしてみてください。

しっかり対策をとればリスクを下げられる

しっかり対策をとればリスクを下げられるインプラント治療で蓄膿症(副鼻腔炎)になってしまう方がいますが、信頼できる歯科医院で実績ある医師による治療を受けられれば、リスクを下げることが可能です。また、自分でも丁寧なメンテナンスを心がけ、リスクを抑えていきましょう。

定期的に歯科医院に足を運び、専門器具を用いたメンテナンスをしてもらうことも重要です。何かトラブルが発生していた場合、いち早く見つけてもらうことにもつながります。