総入れ歯はとても便利なものではありますが、人によっては違和感がある、強く噛めないなどの不具合を感じることも少なくありません。そういった方から選ばれているのが、インプラントオーバーデンチャーです。
インプラントオーバーデンチャーは、インプラントと入れ歯のメリットを組み合わせた治療法ともいえるものです。インプラントオーバーデンチャーの特徴や費用相場、保険は使えるかなどについて解説します。
インプラントオーバーデンチャーとは
インプラントオーバーデンチャーとは、インプラントを支えとし、入れ歯を固定する治療方法です。
通常の入れ歯は、粘膜で噛む力を支えていますが、その力はそれほど強くなく、さまざまな不具合を発生させます。
一方で、インプラントオーバーデンチャーで支えとするインプラントは、歯肉を切開してからあごの骨に穴を開け、そこに埋入する形でしっかりと固定されているのが特徴です。そのため、粘膜を支えとすると通常の入れ歯と異なり、ずれたり外れたりする心配がありません。
インプラントオーバーデンチャーは、方顎あたり2~6本のインプラントを埋入し、その上に入れ歯をかぶせて固定する方法です。噛む力が大きくなるだけではなく、粘膜の負担が軽減できるメリットもあります。
インプラントオーバーデンチャーの費用相場
インプラントオーバーデンチャーの費用相場は、70万円~150万円ほどです。高額な治療ではありますが、通常のインプラント治療の場合、1本あたり32~40万円程度の費用がかかります。
そのため、多くの歯を失ってしまった方が1本ずつインプラントを埋入しようと考えると、費用がかなり高くついてしまいます。ですが、インプラントオーバーデンチャーであれば、片顎の歯を少ない本数のインプラントで支えられるため、1本ずつインプラントを埋入するのに比べて費用を抑えられるのが特徴です。
インプラントオーバーデンチャーは保険適用可能?
基本的にインプラントオーバーデンチャーは、保険適用外となります。そのため、全額自己負担で支払わなければなりません。
費用相場は70万円~150万円ほどと紹介しましたが、この他にも定期的なメンテナンスの費用がかかります。メンテナンスの費用は治療を受ける歯科医院によって大きく変わるので、事前に確認しておきましょう。
インプラントオーバーデンチャーの治療に保険が適用されないのは、入れ歯など、保険が適用される他の選択肢があるからです。
公的医療保険の対象となる診療は、生きていくために必要な最低限の治療ともいえます。インプラントオーバーデンチャーは、総入れ歯よりも生活の質を向上させるための治療といえるため、保険は適用されません。
インプラントオーバーデンチャーの費用負担を少しでも軽くするコツ
インプラントオーバーデンチャーには保険が適用されませんが、医療費控除を利用したり、分割払いを選択したりすることによって費用負担を軽くできます。それぞれ解説します。
医療費控除を利用する
インプラントオーバーデンチャーは保険適用の対象外ではありますが、医療費控除の対象にはなります。医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの間に10万円以上の医療費を支払った場合に受けられる控除のことです。
支払った医療費の額に応じて税金を計算し直し、その金額が所得から差し引かれます。そのため、インプラントオーバーデンチャーに100万円かかったとしても、90万円が控除されるものではないので、注意が必要です。
医療費控除は自動で差し引かれるものではありません。確定申告書と医療費の明細書を作成して、税務署への提出が必要です。
分割支払いをする
治療費を一括で支払うのが難しい場合、分割払いを活用する方法が挙げられます。
多くの歯科医にはデンタルローンやクレジットカード、クリニック独自のローンなどによる分割払いに対応しているので、支払い方法や回数などについては治療を決定する前に相談してみてください。
支払いのタイミングは歯科医院によって異なります。治療を開始した際、または終了した際に一括で支払うもの、治療の都度支払うものが代表的です。この他に、毎月決まった金額を分割で支払う方法があります。
分割払いの場合、支払い回数と毎月の支払い額は、インプラントオーバーデンチャーの治療費用やローンの種類により異なります。一括払いとは異なり、金利手数料が加算される点には注意が必要です。
オーバーデンチャーで快適な生活を
総入れ歯は使いにくさを感じている方が多く、しっかりものを噛めない、ズレるのが気になるといった状態では、快適な生活はできません。
インプラントオーバーデンチャーは保険が適用されませんが、その分保険適用の総入れ歯と比べると機能性が高く、快適さが期待できます。
すでに総入れ歯にしていて不便さを感じている方や、歯の本数が少なくなって総入れ歯を予定している方は、インプラントオーバーデンチャーについても検討してみてはいかがでしょうか。