フラップレスインプラントとは?どのような特徴がある?

フラップレスインプラントとは?どのような特徴がある?

インプラント治療を受けたいけれど決めかねている方の中には、メスを使う外科手術であることを知り、ためらっている方もいるでしょう。そういった方から選択されているのが、切らないインプラント治療といわれる「フラップレスインプラント」です。

具体的にどういった治療なのかについて解説します。また、フラップレスインプラントが適用できないケースや、治療のメリットについても参考にしてみてください。

フラップレスインプラントとは

通常のインプラント治療は、メスを使って歯肉を切開し、あごの骨にドリルで穴を開けてインプラントを埋入します。
一方、フラップレスインプラントはメスで必要最低限の小さな穴を開けて行います。歯肉を切開したり、剥離・縫合したりする工程が必要ないため、従来のインプラント治療に比べると体への負担を大きく抑えられるのが魅力です。

従来の治療に比べて切開範囲を小さく抑えられる理由は、インプラント手術を行う前にCT撮影とインプラント埋め込み位置のコンピュータシュミレーション設計を行うことにより、正確な位置にインプラントを埋め込む手術用テンプレートを作製できることが関係しています。

大きな切開が必要ない分、手術時の出血や腫れ、痛みなどを軽減することができる方法です。また、最低限の切開で済む分、手術後の回復も早くなります。

フラップレスインプラント手術ができないケース

フラップレスインプラント手術ができないケース
とても魅力的なフラップレスインプラントではありますが、すべての人が選択できるわけではなく、条件を満たしている方でなければなりません。判断する際のポイントになってくるのが、あごの骨幅です。

フラップレスインプラント手術ができるケースとできないケースについて解説していきます。

フラップレスインプラント手術が可能な骨幅

一般的には骨の幅が10×10mm、長さは15mm程度なら問題なくフラップレス手術ができるとされています。歯の中でも特に奥歯(前歯の真ん中から数えて4,5,6,7番)は十分な骨量があるケースが多いので、フラップレス施術を検討しやすいといえるでしょう。

10mm以上骨幅がある場合は、前歯でもフラップレスインプラント手術が検討可能です。

奥歯のフラップレスインプラント手術の可否

奥歯に比べると前歯(前歯の真ん中から数えて1,2,3番)は骨量が少ないケースが多いです。骨幅が7mm以下だった場合、インプラント手術はできません。

7~10mmである場合、インプラント手術は可能ですがフラップレス手術で行うのは難しいので、通常の歯肉を切って手術する方法を検討することになるでしょう。場合によっては先に骨を増やす手術を行えば対応できることもありますが、多くの場合は奥歯で適用される治療だと考える必要があります。

その他の要因によるフラップレスインプラント手術の可否

顎の骨幅が十分であったとしても、その他の要因によりフラップレスインプラント手術を適応できないケースもあります。

たとえば切開が伴わないフラップレスインプラント手術では、医師が顎の骨を直接見られないことから骨質に対して細かく対応しにくく、骨量が不十分である場合は適応が難しいと言えるでしょう。また歯槽骨の形が整っていないケースでも同様です。

骨量は歯科医院で詳しい検査を受けなければ判断できないため、検討されている方はまず歯科医院にご相談ください。選択する歯科医院によってどちらの治療に力を入れているのかが異なるので、事前にホームページなどで確認してみるのも良いでしょう。

フラップレスインプラントで対応できる場合は、積極的にフラップレスインプラント選択しているクリニックも多いです。

フラップレスインプラントのメリット

フラップレスインプラントのメリット従来の方法に比べ、フラップレスインプラントは以下のようなメリットがあります。

  • メスを使用しない
  • 縫わない
  • 出血量が少ない
  • 手術時間が短い
  • 正確かつ安全な治療ができる
  • 体への負担を軽減できる

切開する幅が従来の治療法に比べて小さくて済むので、痛みや腫れを大幅に軽減できます。また、従来の治療よりも短い時間で手術が完了するので、口を開けている時間が短くなるのもメリットだといえるでしょう。
従来の治療法に比べると、2回ほど通院回数を削減できるケースが多いです。

また、正確性の高い手術であるのも大きな魅力です。あらかじめガイドとなるテンプレートを作製し、埋入位置を決めてから行うことができます。従来の治療法だと医師がその場で判断をしなければなりませんでしたが、テンプレートに沿って手術ができるので、精密な手術が可能です。

それから、歯肉を切開したり縫合したりする従来のインプラント治療だと全身疾患のある方は選択できないケースが多かったのですが、手術時のリスクを抑えられる方法であるため、糖尿病など全身疾患などの問題を抱えていることでも選択できる場合があります。

従来の方法ではインプラント治療が難しいと判断されてしまった方などは、フラップレスインプラント治療を行っている歯科医院で相談をしてみましょう。

フラップレスインプラントのデメリット

フラップレスインプラントのデメリット
フラップレスインプラントには多くのメリットがありますが、その反面、次のようなデメリットもあります。

  • 緻密な検査を受けなければならない
  • 高度な医療設備を設置している歯科医院でしか受けられない
  • 医師の知識や経験が必要となる
  • 通常のインプラントより費用が高くなることがある
  • フラップレスインプラントを適応できないケースがある
  • 手術中に通常のインプラント手術に切り替えられることがある

顎の骨や骨量により適応の可否が変わるフラップレスインプラント手術では、事前に緻密な検査を受け、綿密な治療計画を立ててから治療を開始する必要があります。そのため検査の量が多くなり、患者への負担が増えることが考えられます。検査には高度な医療設備が用いられることから、手術を受けられる歯科医院が限られることもデメリットでしょう。

また医療設備が充実していても、医師の知識や経験、技術が伴わなければトラブルへの発展することもあります。医師が直接目で確認しながら行う通常のインプラント手術に比べると、フラップレスインプラント手術は難易度が高いため担当医により結果が左右されることも。

その他、通常のインプラントよりも費用が高くなるケースがあることや、骨の状態により適応できないケースがあることもデメリットです。最初に「適応可能」と判断されても、手術中に何らかの問題が発生した場合は、安全に手術を行うため通常のインプラント手術に切り替わることがあることも覚えておいてください。

手術の流れ

手術の流れ
デメリットもありますが、やはり低侵襲な手術であることは大きな魅力でしょう。そこでここからは、フラップレスインプラント手術を検討されている方に向けて手術の流れについて解説していきます。

手術可能かどうかの診断

まずはフラップレスインプラント手術が可能かどうかの判断を行います。先に何度か解説してきたように、CT検査などで顎の骨の厚み・高さなどに加え、神経や血管の通り方、粘膜の状態、口内全体の状況などを細かく確認。検査結果を踏まえた上でシミュレーションを行い、手術が適応可能か判断します。

フラップレスインプラント手術が可能であると判断された場合、綿密な治療計画を立て手術当日に備えます。

目印をつけ、ドリルで穴をあける

フラップレスインプラント手術当日は、まず局所麻酔をしてから目印をつけ、ドリルで穴を開けます。目印とは骨の厚みや高さを確認するためのものです。手術前の検査で骨の確認を行いますが、CT検査の画像と実際の骨の状態が一致しているか確認するために、細い針を歯肉に刺して目印をつけ骨がある場所を確認します。

目印により骨の状態をイメージし、問題がなければドリルで小さな穴をあける作業へと進みます。2~3回ドリリングし、インプラントを挿入できる大きさにまで穴を広げていきます。

インプラントを埋め込み、キャップをする

ドリルで穴をあけ終えたら、インプラントを埋め込んでキャップをしたら手術完了です。インプラントは歯肉の中に2~3mm埋め込まれますが、局所麻酔をしているため痛みはありません。ただしそのままにしておくと歯肉が埋め込んだインプラントを覆ってしまうことがあるため、インプラントにキャップをして穴が塞がれないようにしておきます

従来に比べてメリットの多い選択肢

従来に比べてメリットの多い選択肢
フラップレスインプラントとはどのような治療法なのかについて解説しました。メスで大きく切開しなくてもインプラント治療ができるということもあり、大掛かりな外科治療は避けたいと考えている方や、メスを入れるのが怖いと考えている方からも選ばれています。

従来の方法に比べて腫れや痛みを大幅に抑えることができるので、インプラントの治療に興味があるけれど不安を感じているといった方はぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

ただしフラップレスインプラントは、通常のインプラントに比べて医師の高度な技術力が必要とされる手術です。フラップレスインプラントに対応している歯科医院であっても、医師の技術力には違いがあるでしょう。実績やこれまでの経験も調査したうえで、優秀な医師を選ぶようにしてください

安全に治療を受けるための医師選びについては『【インプラント治療前必読】信頼できる医師と歯科医院の選び方』で詳しく解説していますので、こちらのページを参考にしながら失敗しない医師選びをすることが大切です。