インプラント治療に伴う上顎洞炎とは?

インプラント治療は外科手術を伴う治療ということもあり、リスクについてもおさえておかなければなりません。
インプラント治療をした際に発生する合併症の一つとして知られているのが、「上顎洞炎(じょうがくどうえん)」です。具体的にどのような合併症なのか、原因や症状、万が一、上顎洞炎を発症してしまった場合にはどういった治療法が最適かについて解説します。

インプラント治療にともなう上顎洞炎とは

上顎洞炎とは、上顎洞粘膜と呼ばれる場所に細菌が入り込んだことによって発生する炎症のことをいいます。
そもそも上顎洞とはどこかというと、これは上顎の骨の奥(鼻側)にある空洞部分のことです。鼻腔へつながる副鼻腔の一種であり、粘膜で覆われています。副鼻腔は全部で4つあるのですが、その中で最も大きいのが上顎洞で、ここに炎症が発生すると副鼻腔炎の症状が発生してしまいます。

上顎洞炎が発症する原因と症状

なぜ上顎洞炎になってしまうのでしょうか。代表的な原因と、発症した場合に見られる代表的な症状について解説します。

上顎洞炎が発症する原因

上顎洞で炎症が発生していることが原因なので、炎症に繋がるようなトラブルが関係しています。例えば、上の歯を抜歯した際に上顎洞と繋がり、その際に感染したり、放置した虫歯や歯周病の炎症が上顎のまで広がったりして上顎洞炎になってしまうようなケースが多いです。
また、治療中の人為的なミスが原因になるケースもあります。

インプラント治療の場合、手術後に細菌感染が起こったためにインプラントの固定部分が緩くなってしまい、インプラントが落ちてしまうことも原因の一つです。

インプラント治療では、インプラントを固定する土台であるあごの骨がしっかりしていなければなりません。あごの骨が不足している場合は、上顎洞粘膜を剥離してから骨を移植するサイナスリフトと呼ばれる方法で対応できるのですが、この治療中に上顎洞粘膜に穴を開けたり、何らかのトラブルが発生したりすると上顎洞炎のリスクが高くなります。

上顎洞炎の症状

上顎洞炎になった場合、以下のような症状が現れます。

  • 歯が痛む
  • 歯茎が痛む
  • 噛むと痛い
  • 鼻がつまる
  • 鼻から黄色い膿が出る
  • 頬に圧迫感を感じる
  • 頭痛
  • 発熱

痛みについては、全く感じないケースもあります。そのため、何となく鼻周りのトラブルを感じてレントゲンを撮影したところ、上顎洞炎であったと判明するようなケースも多いです。

風邪をひいた時も同じような症状が出るので、発見が遅れてしまうことがあります。ですが、インプラント治療をした後にこういった症状が現れた場合、上顎洞炎の可能性も疑ってみましょう。また、もともと副鼻腔炎の方は、そうでない方に比べてリスクが高くなるので、インプラント治療を行うよりも前に、副鼻腔炎をしっかり治療しておくことが重要です。

上顎洞炎に最適な治療法とは

上顎洞炎になった場合、主な治療法は薬物治療と歯科治療、上顎洞根治手術の3種類です。それぞれについて解説します。

薬物治療

炎症を抑えるための抗菌薬を用いた治療です。抗菌薬は炎症の原因となっている菌を殺す働きがあり、菌の増殖を抑えることができるため炎症を緩和させる効果があります。
抗菌薬は決められた期間がしっかりと飲まなければなりません。
薬を飲む期間は、急性の場合7~10日間ほどとなっています。しかし、慢性状態の副鼻腔炎については、3ヶ月間ほどにわたりマクロライド系の抗菌薬を少量ずつ服用しなければならないケースもあります。他、ステロイドや注射薬などを用いた治療も一般的です。

歯科治療

薬物治療は炎症を抑える治療ではありますが、原因を取り除かなければ再発してしまいます。歯が原因で上顎洞炎になっている場合、神経を治療したり、抜歯したりするなどの治療を行い、根本的な原因を解決しましょう。
上顎洞の中にインプラントが入り込んでしまっていることが原因で上顎洞炎になったケースがありますが、こういった場合も異物であるインプラントを取り除かなければなりません。

上顎洞根治手術

薬物治療や歯科治療で解決できない場合、手術が必要です。手術では、犬歯上方を切開して副鼻腔の粘膜を除去するコールドウェル・ルック上顎洞手術という方法があります。こちらの手術方法はしびれが生じやすいほか、治療成績が高いといえないため、近年は内視鏡を用いた内視鏡下鼻内手術法が行われることが多いです。
また、他にもいくつか手術の種類はあるので、状況に合わせて選択されることになります。

手術が選択されるのは、症状が重い場合です。できるだけ早期に異常に気づき、薬物治療や歯科治療で解決できる段階で治療するのが理想的です。

信頼できる歯科クリニックでの治療が重要

インプラント治療に伴う上顎洞炎について解説しました。どれだけ確実な手術を行っても細菌感染が防げないようなケースもありますし、100%上顎洞炎を予防するのはなかなか難しい事ではありますが、きちんと感染症対策を取って、確実な形でインプラント治療を行っている歯科クリニックを選択することが重要です。
これまでの実績なども確認しながら歯科クリニック選びをしてみてください。