失った部分の歯をカバーする方法には、部分入れ歯やブリッジなどの選択肢もありますが、おすすめなのがインプラント治療です。機能性に優れているだけでなく、審美性においても優秀なことから多くの方に選択されています。
インプラント治療についてよくわからない方のために、健康面や精神面でどのようなメリットが期待できるのか、その他の治療法と比べてどのような魅力があるのかなどについてご紹介しましょう。
インプラント治療のメリット
インプラント治療を受けることによって得られるメリットは多々あります。代表的なメリットは以下の通りです。
- 自分の歯でしっかり噛める
- 口内を清潔な状態に保てる
- 健康な歯への影響を与えない
- インプラントは虫歯にならない
- 骨が痩せるのを防ぐことが可能
- 天然歯に近い審美的な印象を出せる
- 毎日取り外すがかからない
- 正しく使用することで長期間の使用が可能
- 食事を楽しむことができる
- 会話を楽しむことができる
それぞれ詳しくご紹介しましょう。
自分の歯でしっかり噛める
インプラントは入れ歯やブリッジとは異なり安定感があるだけでなく、咀嚼能力に優れています。咀嚼能力が高ければそれだけ食事をする際にしっかり噛むことができますし、咀嚼によって食材を細かくし、身体に吸収しやすい状態にすることができるのです。
天然歯は特に咀嚼能力が高いのですが、インプラントと天然歯を比較してみると、ほぼ同様の咬合力(噛む力)があるとされているため、健康な歯を取り戻したいと考えている方にとっておすすめの治療法といえます。
入れ歯やブリッジでは思うように噛むことができず、食事をする際に不便さを感じている方が多いので、しっかりと噛みたいと感じている方もインプラント治療を検討してみてはいかがでしょうか。
参考:塩田真,大野真一「(PDF)インプラント適用患者の咬合力測定」口病誌1997,64/3
口内を清潔な状態に保てる
唾液には消化を助けたり、口の中の食べかすを洗い流したりする働きがあります。そのため、口内を清潔な状態に保つためにも唾液が欠かせません。
唾液を出すために行われるのが、咀嚼です。インプラント治療を行うと、しっかりものを噛めるようになるため、唾液が分泌されやすくなる効果が期待できます。
また、失った歯をそのまま放置してしまうと少しずつ周囲の歯が動き、歯並びが悪くなってしまうケースも多いです。歯並びが悪いと、当然ながら歯磨きしにくい状態になります。
磨き残しが発生しやすくなると、口内を清潔な状態に保つことができません。
口内の健康は全身の健康とも関わっていると言われているので、できる限り清潔な状態に保ちましょう。そのためにインプラントが役立ってくれます。
健康な歯への影響を与えない
従来の治療法として定番であるブリッジと比較した場合、インプラント治療は健康な歯を削らなくて済むメリットがあります。
ブリッジは、失ってしまった歯の両隣の歯を支えとして固定式の歯を装着する方法です。しかし、そのためには支えとなる歯を削らなければなりません。
噛む際には支えとなっている歯にかかる力が強くなりますし、これが原因で支えとなる歯の寿命を縮めてしまうこともあります。
インプラントの場合は1本だけ独立した形で治療ができるため、ブリッジに比べて他の歯に影響を与えることなく治療ができるメリットが大きいです。
インプラントは虫歯にならない
虫歯治療で痛い思いをしたことがある方も多いのではないでしょうか。インプラントは天然歯と異なり、虫歯になることがありません。
そもそも虫歯とは何かというと、口の中に存在している細菌が糖質から酸を作り出し、酸の力で歯のエナメル質を溶かしていくことをいいます。ですが、インプラントに使われている部品は人工的なものであるため、虫歯にはなりません。
せっかくの高い治療費を支払ってもすぐに虫歯になってしまったらどうしようと悩んでいる方も、安心して治療について検討できるのではないでしょうか。
ただ、虫歯とは異なりますが、歯周病と似たインプラント周囲炎と呼ばれるトラブルがあるので、ブラッシングなどは念入りに行う必要があります。
骨が痩せるのを防ぐことが可能
歯を失ってしまった部分はあごの骨に刺激が伝わらなくなり、少しずつ骨が痩せてしまうのですが、インプラントでは直接あごの骨にインプラント体を埋め込むこともあり、骨が痩せるのを防ぐことができます。
部分入れ歯やブリッジは、歯茎の上に人工の歯が乗っている状態であり、食事の際に噛んでもあごの骨まで刺激を伝えることはできないので、インプラントならではのメリットといえるでしょう。
天然歯に近い審美的な印象
見た目を重視してインプラント治療を選択する方も多いです。インプラント治療は審美性に優れており、まるで普通の歯と同じように見えます。
色については既存の歯と同じように細かく調整することができるので、インプラントを入れた部分だけ浮いて見えてしまうような心配はありません。
その他の治療方法と比べてみても審美性に優れているといえるでしょう。例えば、部分入れ歯の場合、金属のバネを歯に引っかけて装着することもあり、部位によってはその金属が見えてしまうことから見た目が気になる方が多いです。
ブリッジの場合も同じで、特に奥歯はかみ合わせの力が強い部分ということもあり、保険診療で作る場合は、強度のある銀歯しか選択できないケースがあります。
見た目の美しさを重視したいと考えている方も、自然な白い歯が魅力的なインプラント治療を検討してみてはいかがでしょうか。
毎日取り外す手間がかからない
部分入れ歯や入れ歯の場合、毎日取り外してメンテナンスしなければなりません。実際に、毎日の入れ歯のケアを手間に感じている方は多いようです。
しかし、インプラントであれば自分の歯と同じように扱うことができます。取り外して磨いたり、メンテナンスしたりする必要はありません。また、取り外す必要がないということは、しっかりと固定されているということでもあります。インプラントは骨に固定されているため、強い力で咀嚼可能です。
一方、取り外しが可能な入れ歯の場合、骨に固定されているわけではないので、どうしても咀嚼の力が弱まってしまいます。しっかりものを噛めるようになりたいと考えている方にもインプラントが向いているでしょう。
正しく使用することで長期間の使用が可能
インプラントは、非常に丈夫であり、長期間の使用が可能です。多くの文献では、インプラントの残存率は、10年で92~95%とまでされているので、非常に長持ちすることがわかるでしょう。
それだけでなく、実際にインプラント治療を行った患者に対して行ったアンケート調査では、残存期間20年と答えた方が最も多かったとの報告があります。
ただし、あくまで日々の丁寧なブラッシングと、歯科医院での定期的なメンテナンスを正しく行った場合の話です。
インプラントのメンテナンス詳細は『インプラントのメンテナンス方法!歯科医院で受ける場合と自宅で行う方法を紹介』でご確認いただけます。
参考:日本歯科医学会編「(PDF)歯科インプラント治療指針」
食事を楽しむことができる
インプラント治療を行い丈夫な歯が手に入れば、食事を楽しむことができます。歯を失ってしまい、よく噛めないと食べるものを選ばなければならず、楽しみながら食事ができません。
しかもインプラントは天然歯と同等程度の噛む力を持っているため、快適な食事につながりやすいでしょう。
歯を失ったせいで思うように食事が楽しめず、食事の時間がストレスになってしまうと精神的にもよくありません。食事を楽しみたい方にもインプラント治療がおすすめです。
参考:塩田真,大野真一「(PDF)インプラント適用患者の咬合力測定」口病誌1997,64/3
会話を楽しむことができる
インプラント治療では審美性に優れた人工歯を入れることができるので、見た目に自信を持つことができます。そのため、会話を楽しむことができるでしょう。
失った歯をカバーするためブリッジや部分入れ歯にしたものの、見た目が不自然で悩んでいる方がいるようです。インプラント治療で用いている人工歯は天然歯と見分けがつかないほど自然です。
人から見られても自然な歯を手に入れ、会話を楽しみたいと考えている方もインプラント治療を検討してみてはいかがでしょうか。
インプラント治療のデメリット
インプラント治療にはデメリットもあります。代表的なデメリットは以下の通りです。
- 不安感
- 外科手術が必要となる
- 手術を受けられない場合がある
- 治療期間が長くなる可能性
- 治療費が高額
- 治療後はメンテナンスが必要
- 感染症リスク
外科手術であるため不安に感じる方もいますし、インプラント治療は保険適用外なので高額です。また、継続してメンテナンスに通わなければなりません。
デメリットについてよく確認しておきたい方は『インプラント治療のデメリットについて紹介』を参考にしてください。
インプラント治療にはメリットがたくさん
保険診療で対応できる部分入れ歯やブリッジと異なり、費用はかかりますが、インプラント治療には多くの魅力があります。
まるで自分の歯と同じように噛むことができるので食事をする際にストレスを感じることはありませんし、見た目においても優れているので、入れ歯やブリッジのように口元を気にする必要もありません。
健康面でも精神面でも優れている治療法を選択したいと考えている方におすすめです。