機能性と審美性に優れているということで高い人気を誇るインプラント治療ではありますが、どのようなデメリットがあるのかについても理解しておきましょう。
特に多くの方がデメリットとして挙げている不安感や、外科手術に関すること、治療期間などについてご紹介します。
また、どれくらいの治療費がかかるのかについても解説するので役立ててみてください。
インプラント治療のデメリット
インプラント治療にはいくつかおさえておくべきデメリットがあります。代表的なのは以下の7つです。
- 不安感
- 外科手術が必要となる
- 手術を受けられない場合がある
- 治療期間が長くなる可能性
- 治療費が高額(保険適用外)
- 治療後はメンテナンスが必要
- 感染症のリスク
それぞれ詳しくご紹介しましょう。
不安感
インプラント治療は外科手術が必要ということもあり、大きな不安感を覚えてしまう方がいます。特に、通常の虫歯治療なども苦手な方の場合、精神的な負担について考えておかなければなりません。
精神的な不安を拭い去るためには、信頼できる歯科医院を選ぶことが重要だといえます。過去の実績なども確認しながら、安心してお願いできる歯科医院を選択しましょう。
痛みの問題を心配する方もいますが、局所麻酔で手術するため、手術中の痛みは基本的にありません。また、不安感が強い方は静脈麻酔を併用する方法もあります。
ヒアリングや医師からの説明が不十分だと、不安感が高まってしまうことが多いです。安心して治療を受けるためにも、カウンセリングに力を入れている歯科医院を選択すると良いでしょう。
外科手術が必要となる
インプラント治療では、外科手術をすることになります。外科手術とは、メスなどを用いた治療のことでインプラント治療でもメスで歯肉を切開し、治療を進めていくのが一般的です。通常の虫歯治療と比較すると大掛かりな治療となります。
手術を受けられない場合がある
インプラント治療は外科手術を伴うこともあり、持病の関係などで手術を受けられない場合があります。難しいケースが多いのが、全身疾患がある方です。
以下に該当する方はインプラント治療が向かないか、持病の状態が良くなければ選択できない可能性があります。
- 循環器疾患…虚血性心疾患、高血圧症など
- 呼吸器疾患…気管支喘息、アスピリン喘息など
- 消化器疾患…肝機能障害、腎機能障害など
- 代謝・内分泌系疾患…糖尿病、骨粗鬆症など
- 精神疾患…統合失調症、うつ病
- 脳血管障害脳梗塞、脳出血など
- 血液疾患…貧血、出血性素因
- 自己免疫疾患…関節リウマチ、全身性エリテマトーデス
- アレルギー疾患…金属アレルギー、薬物アレルギー
- 特殊感染症…HBV、HCV、HIVなど
- その他…服用薬剤による問題など
この他、ヘビースモーカーの方や高齢者もリスクが高いため、インプラント治療が向かないケースがあります。
より詳細について知りたい方は『インプラント治療を「受けられない人」「向かない人」を解説』をご覧ください。
参考:日本歯科医学会編「(PDF)歯科インプラント治療指針」
治療期間が長くなる可能性
失った歯をカバーする方法として、インプラント治療のほかに入れ歯やブリッジなどの方法がありますが、これらの方法と比べるとインプラントは治療に長い期間がかかります。
インプラント治療では、外科手術でインプラント体と呼ばれるものをあごの骨に埋め込み、インプラント体が骨と結合するのを待ったうえで、2度目の手術を行う2回法と呼ばれるものが主流です。
通常、インプラント体を埋め込んでから3~4ヶ月程度の治癒期間を置いたうえで2度目の手術をすることになるのですが、人によっては骨が結合するまで6ヶ月程度かかることがあります。そのため、3~6ヶ月程度と広く考えておきましょう。
部分入れ歯は1~2週間程度、ブリッジ治療は2週間~1ヶ月程度であるのに対し、インプラント治療は長くかかった場合、すべての治療が完了するまでに7ヶ月~1年程度かかります。
インプラント治療の具体的な期間については『インプラント治療の期間はどれぐらい?』でもご紹介しているので、参考にしてみてください。
治療費が高額(保険適用外)
インプラント治療は自由診療にあたり、保険が使用できない自己負担の治療となります。そのため、保険を利用できる一般的な治療法に比べると比較的高額になってしまうのがデメリットです。
どれくらいの費用がかかるのかはケースによって異なりますが、一般診療所の場合、1本あたり32万円~40万円程度の費用がかかります。
また、自由診療では歯科医院が自由に料金を設定できる関係もあり、家賃や人件費が高くかかる都心部などは相場に比べて治療費が高い傾向にあります。
治療後はメンテナンスが必要
インプラントは治療をしてそれで終わりではなく、治療後は定期的に歯科医院に通い、メンテナンスをしなければなりません。3ヶ月に1回程度のペースで通い、状態を確認してもらいましょう。
忙しい方にとっては、定期的に通わなければならない点もデメリットだといえるでしょう。
感染症のリスク
感染症のリスクがあるのもインプラント治療におけるデメリットです。口の中にはもともと多くの雑菌が存在しています。
歯を失ってしまった原因が虫歯や歯周病の悪化など、口腔内の衛生状態が悪いために歯を失ってしまった方もいるでしょう。そのままの状態でインプラント治療をすると感染リスクが高くなる可能性があるため、先に口腔内を衛生的な状態にしておかなければなりません。
また、感染症リスクを抑えるためには、徹底した滅菌管理が行われている歯科医院で治療を受けることが重要です。
さらに、インプラント周囲炎など術後に発生する感染症は丁寧なセルフケアと定期的なメンテナンスで防げる可能性があります。日々のブラッシングにも力を入れ、感染症リスクを抑えましょう。
デメリットとして勘違いされやすいこと
インプラント治療を受けた場合のデメリットとして「MRI検査が受けられなくなる」と聞いたことがある方もいるでしょう。しかし、これは全くのデマです。インプラント治療をしたからといってMRIが受けられなくなるようなことは基本的にありません。
MRIは、磁力を用いた検査です。ですが、インプラントで使用する金属は、磁力が発生しないチタンで作られています。そのため、MRIへの影響はほぼないとされているのです。
注意しなければならないのが、磁力が発生する部品が使われているインプラントです。インプラントの中には磁石を使った「オーバーデンチャー」や「医療インプラント」などもあります。
これらに該当する方はMRIを断られてしまうケースがあるようです。MRIを受ける前にあらかじめ取り外しておくなどの対応が必要になることも考えられます。
詳細については『インプラント治療をした後でもMRI検査は可能!その理由とは?』で解説しています。
インプラント治療のメリット
インプラント治療のメリットについても確認しておきましょう。代表的なメリットは以下の通りです。
- 自分の歯でしっかり噛める
- 口内を清潔な状態に保てる
- 健康な歯への影響を与えない
- インプラントは虫歯にならない
- 骨が痩せるのを防ぐことが可能
- 天然歯に近い審美的な印象を出せる
- 毎日取り外す面倒がかからない
- 正しく使用することで長期間の使用が可能
- 食事を楽しむことができる
- 会話を楽しむことができる
インプラントは非常に噛む力が強く、自分の歯と同じように扱えます。見た目も自然ですし、ブリッジや部分入れ歯などと異なり、周囲の歯に負担をかけることもありません。
メリットの詳細については『インプラント治療のメリットについて紹介』をご確認ください。
デメリットもよく理解したうえで検討を
インプラント治療は様々なメリットがあるため、デメリットについてよく理解しないまま治療を検討してしまう方がいます。ですが、今回ご紹介したようにデメリットとして挙げられることがいくつかあるので、よく理解したうえで検討しなければなりません。
特にインプラント治療を受けるのが難しい全身疾患を抱えている方などは、医師に相談したうえで検討していかなければならないため、自分が治療を受けた場合にはどのようなデメリットがあるのかよく確認してみてください。