感染症の一つ「インプラント歯周炎」とは?予防・治療方法を解説

インプラント治療を受けようと考えているのであれば、リスクについてもおさえておいたほうが良いでしょう。

インプラント治療において特に注意しなければならないとされているのが「インプラント周囲炎」です。

どのようなトラブルなのか、予防するためにできることは何かなどをご紹介します。また、インプラント周囲炎が発生してしまった場合の治療法についても解説します。

インプラント治療による感染症:インプラント歯周炎とは

インプラント周囲炎とは、インプラントの歯周病とも呼べるものです。炎症を引き起こす細菌がインプラントの周囲で増殖してしまったことにより、炎症が発生します。

初期段階では少量の出血しかないため、気付くのが遅れてしまうケースも多いです。状態が悪化した場合はインプラントを支えられなくなり、埋入したインプラントが抜け落ちてしまうこともあります。

インプラント歯周炎を予防するためにできること

インプラント周囲炎の大きな原因は、歯磨きやメンテナンスが十分にできていないことにあります。

そこで、インプラント周囲炎を予防するためにどのようなことに注目すれば良いのかご紹介しましょう。

日々の歯みがきを丁寧にする

何よりも重要なのは、日々の歯磨きを徹底して行うことです。

歯科医院でメンテナンスしてもらうことももちろん大切なのですが、毎日行うセルフメンテナンスが適切にできていなければ良好な状態を保つことはできません。

通常の歯ブラシだけでなく、デンタルフロスを使ったり、磨きにくい部分はワンタフトブラシを使ったりするのもおすすめです。

中にはしっかり磨いているつもりでも磨けていない方もいるので、クリニックでブラッシング指導を受けるようにしましょう。

飲酒・喫煙を過剰にしない

適度な飲酒であればそれほど悪影響はないと考えられますが、飲みすぎて歯磨きをせずに寝てしまうようなケースがある場合は注意しなければなりません。

また、喫煙している方はできる限り禁煙に努めたほうが良いです。喫煙していると、ニコチンの影響によって血流が悪くなり、インプラントがうまく定着しなくなる可能性があります。

さらに、タバコには多くの有害物質が含まれており、免疫力低下の原因にもなってしまいます。結果的にインプラント周囲炎のリスクが高まるので、禁煙に努めましょう。

参考:竹内康雄「インプラント周囲炎に関連する全身的リスクファクター」

生活習慣に気を付ける

例えば、時間を決めることなくだらだら食事をする方や、間食の習慣がある方は炎症を引き起こすプラークが増えやすくなります。

他にも睡眠不足で免疫力が低下している方などは、そうでない方に比べてインプラント周囲炎のリスクが高いです。

生活習慣の見直しをしてみてはいかがでしょうか。

術後メンテナンスを怠らない

クリニックで行う術後メンテナンスも必須です。普段のブラッシングだけでは落としきれない汚れを落としてもらいましょう。

また、インプラント周囲炎が発生していた場合、いち早く気づき早期の治療に取り組むことにもつながります。

インプラント歯周炎の治療方法

インプラント周囲炎になってしまった場合、症状に合わせて治療が必要です。

大きく分けて4つの治療法があります。なお、インプラント周囲炎の治療法はまだ確立されていません。そのため、予防が何より重要だといえるでしょう。

粗面の滑沢化

プラークは凹凸がある場所に付着しやすいので、表面をなめらかな状態にしてプラークの再付着を防ぎます。

ただし、骨との境界面など、場所によっては器具が届きにくい場所もあり、粗面の滑沢化では対応できないケースも多いです。

エアアブレーション

細かい粒子を歯に吹き付けることにより、歯の表面に付着している汚れや汚染物などを除去する方法です。短時間で効率よく除染できます。

ただし、気腫が発生してしまう可能性があるほか、エアアブレーションで使用するパウダーが軟組織内に入り込んでしまうようなデメリットもあわせ持つ方法です。

レーザー照射

付着しているプラークの除去、殺菌のためにレーザーを使用します。

使われているのは、おもにEr:YAG レーザーと呼ばれるレーザーです。レーザーにはいくつかの種類がありますが、歯を削ることが唯一認可されているレーザーがEr:YAG レーザーとなります。

しかし、インプラント体全周にむらなく照射するのはとても難しいことです。また、レーザーを使う方法の中には保険が適用されるものもありますが、インプラント周囲炎に対するレーザー照射は保険適用外となります。

フォトダイナミックセラピー(PDT)

インプラント周囲炎に対する治療方法の中でも新しい治療法です。

まず、光感受性薬剤と呼ばれるものをポケット内に満たします。そこに光照射をすることにより発生する光化学反応によって活性酸素種を発生させ殺菌を行います。

ただ、インプラント治療への応用は適応外となっているため、医師の説明を受けて患者が同意した場合に選択される方法です。

参考:公益社団法人 日本口腔インプラント学会 編「口腔インプラント治療指針2020」

インプラント周囲炎の予防に努める

インプラント周囲炎が発生してしまった場合、それを治療するのは非常に難しいことです。そのため、何より重要なのはインプラント周囲炎の発生を予防することだといえます。

日々の歯ブラシや定期的なメンテナンスをしっかり行っておけば防げる可能性が高いので、丁寧なセルフケアと定期メンテナンスに努めましょう。