インプラントの再治療が必要になるケースと気を付けるべき点を紹介

インプラントの寿命は非常に長いのですが、何かトラブルが起こると再治療が必要になってしまうことがあります。治療中の失敗が原因で再治療をしなければならない状態になることもあれば、セルフケアに問題があるケースも多いです。

そこでどのような場合にインプラントの再治療が必要になるのかについてご紹介しましょう。治療の方法や費用についても参考にしてみてください。

インプラントで再治療が必要となるケース

インプラント治療を行う目的といえば、失った歯をカバーし、自然の歯と同じように物を噛める状態を作ることにあります。しかし、何らかの理由によりその機能が果たせない結果になってしまった場合には再治療が必要になることがあるのです。

代表的な例についてご紹介しましょう。

インプラントが抜けた

インプラントが抜け落ちてしまった場合も再治療をする必要があります。インプラントが抜け落ちてしまう原因の中でも大きいのが歯周病の問題です。歯周病の原因である歯周病菌は炎症の原因であり、インプラントの大敵だといえます。

通常は歯周病の治療をしたうえでインプラントを埋入することになるのですが、十分に歯周病の治療をせずに急いでインプラントを埋入したような場合は炎症が発生しやすくなり、抜け落ちてしまうリスクが高くなるのです。

インプラントが定着しない

インプラントが定着しない場合も再治療が必要とされます。インプラントは治療完了後、数か月をかけてゆっくりと顎の骨に定着していきますが、細菌感染などにより炎症が改善されないとインプラントが顎の骨と定着しづらくなることも。

顎の骨に定着しないと脱落してしまうリスクが高まるため、インプラント再治療が必要となります。前項で解説したインプラント脱落の問題は、歯周病だけでなくその他の細菌感染による炎症でも起こり得ることです。

インプラントがぐらつく・破損する

インプラントが定着していたとしても、ぐらつきや破損が見られた場合にも再治療をしなければなりません。また、インプラントが破損した場合も、インプラントとしての役割を十分に果たせなくなるため再治療が必要です。

インプラントのぐらつきが起こるのは顎の骨が溶解して骨量が少なくなるなど、インプラント体を支える土台が失われることも原因のひとつ。顎の骨の溶解は歯周病菌により起こることがあるため、インプラント治療前に歯周病を完治させていなかった場合に起こりがちです。土台が失われたインプラントはぐらついた後に脱落してしまうこともあります。

痛み・腫れ・しびれが止まらない

インプラント治療が完了した後も、痛みや腫れ、しびれが治まらない症状を訴えられる方がいます。このような症状が見られた場合も、インプラント再治療が検討されるはずです。治療後に痛みや腫れ、しびれが現れる場合、インプラント治療を行った医師の技術力に問題があった可能性もあります。

国民生活センターによると、治療後に痛みや腫れでインプラント再治療を行ったケースでは、インプラントの埋め込み方が浅く、再治療が必要となったことがあったとのことです[1]。

インプラントの再治療の方法

インプラントの再治療の方法
インプラントの治療で再治療が必要になってしまった場合、症状に合わせて治療を進めていくことになります。

例えば、インプラントを埋入した直後にぐらつきが発生したようなケースでは、十分な骨の量がない状態で治療を行ったり、骨吸収と呼ばれる現象が起きたりして、インプラントと骨が結合していない可能性が高いです。この場合はインプラントを撤去したうえで治癒を待ち、骨の量が戻ってから再度埋入する必要があります。

また、手術直後ではなく、しばらくしてから症状が現れた場合には、歯周病菌に感染したことによってトラブルが起きているケースが多いです。除菌のほか、進行を抑えるための骨移植を行うこともあります

再治療でどのような対応が必要になるのかについては一度詳しい検査を受けてみなければ判断できません。気になることがあれば早めに歯科医院に足を運びましょう。

インプラントの再治療にかかる費用

インプラントの再治療にかかる費用
状況によって治療費は変わるので、あくまで一例という形でご紹介します。インプラントの治療は一般的な歯科治療より費用が高額ということもあり、多くの歯科医院では一定期間なら格安で再治療ができるように費用を設定しているところが多いです。

例えば、手術から数年の間に再手術が必要になってしまったような場合は治療費無料としているところもあるので相談してみましょう。どれくらいの期間が無料期間として設定されているかは歯科医院によって異なり、3年程度のところもあれば、7年ほどは無料としているところもあります。

それ以降については全額自己負担での再治療になる場合もありますが、歯科医院の中には従来の治療費に比べて数割程度の自己負担で済むところもあるので確認してみてください。

インプラントの再治療にならないために気をつけること

インプラントの再治療にならないために気をつけること
インプラント再治療は無料となることが多いものの、治療のために通院をする労力や時間が再度必要になります。インプラント治療を成功させるには、次のようなポイントを意識し、再治療の必要性をなくすことが最も重要ではないでしょうか。

自分でできる手入れを怠らない

インプラント再治療を防ぐための方法は多々ありますが、ご自身で手入れを欠かさずに行うことは非常に重要です。インプラント治療を受けると定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることになりますが、それ以外の日々のケアがインプラントの予後を大きく左右します。

毎日の歯みがきを丁寧にすることを基本とし、ポイント歯ブラシであるワンタフトブラシ、デンタルフロスなどを活用しながらブラッシングをし、口内の清潔を常に保てるようにしてください。

歯科医院の定期メンテナンスを受ける

前項でも触れましたが、インプラント再治療を避けるには歯科医院の定期メンテナンスを受けることは欠かせません。メンテナンスに通わない場合「インプラント歯周炎」という歯周病のような病気が引き起こされることがあります。

もしインプラント歯周炎を発症すると、顎の骨が溶解してインプラント体を支えられなくなり、部品が脱落してしまう可能性も考えられます[2]。

歯科医院の定期メンテナンスは治療後の保証を受けるための条件となっているため、もしインプラント再治療が必要となったとしても、無償治療が受けられなくなることもあるでしょう。治療完了後は必ず、定期的にメンテナンスに通うようにしてください

生活習慣を見直す

インプラント治療の予後は生活習慣により変わるため、インプラントが長持ちするよう日々の生活を見直すことも大切です。たとえばインプラントの定着率を下げる大きな要因である「喫煙」[3]をしている方は、できる限り禁煙に努めることをおすすめします。

また、過度の飲酒もインプラントの寿命を縮める要因となる可能性があるとも報告されています[3]。高齢の方であれば、筋肉量が減少する「サルコペニア」により、骨が弱くなる「ロコモティブシンドローム」へと悪化する可能性があることから[4]、インプラントが定着している顎の骨を強固に保つために定期的な運動も行いましょう

歯ぎしり・食いしばり対策をする

睡眠中に歯ぎしりや食いしばりをする癖がある方は、それらの癖を改善されることをおすすめします。なぜなら歯ぎしりや食いしばりによりインプラント体に負荷がかかると脱落して[5]、インプラント再治療が必要となる可能性が高まるためです。

歯ぎしりや食いしばりへの対策にはスプリント療法と呼ばれるマウスピースを用いた治療で改善することもできるので[5]、インプラント再治療を防ぐためにも歯科医院に相談してみてください。

前提として、良い歯科医院を選ぶ

インプラント再治療を防ぐためには生活習慣改善や定期メンテナンスも重要ですが、大前提として「信頼できる良い歯科医院を選ぶ」ことが欠かせません

インプラント再治療が必要となるケースの項目でも解説しましたが、医師技術力不足により再治療が必要となるケースもあります。ご自身で生活習慣や歯ぎしり・食いしばりの癖を改善したとしても、治療自体が不十分であれば防ぎようがありません。

特にインプラントのように高度な技術が必要とされる治療では、医師の技術力が治療の予後に大きな影響を与えます。歯科医院や医師のインプラント実績を確認し、本当に信頼できると感じた医院におまかせすることが再治療予防の大きなカギです。

インプラントを長持ちさせるために

インプラントを長持ちさせるために

インプラントは高い治療費がかかるだけでなく、治療期間も長いことから、治療後はできるだけ長持ちさせたいところです。普段から口の中を清潔に保つように心がけ、丁寧なセルフケアを行うのはもちろんです。

また定期的に歯科医院に通い、専門的なケアをしてもらう必要があります。正しいケアで長持ちさせましょう。
[1]

参照:国民生活センター「あなたの歯科インプラントは大丈夫ですか」報道発表資料,2019

[2]

参照:e-ヘルスネットインプラント(いんぷらんと)」2021年11月26日サイト閲覧

[3]

参照:由良博ら「大学病院インプラント科に受診した患者の喪失歯数に関連する要因」日本口腔インプラント学会第25巻, 4号

[4]

参照:萩原芳幸「超高齢社会におけるインプラント治療」日補綴会誌 Ann Jpn Prosthodont Soc 10 , 2018

[5]

参照:馬場一美「睡眠時プラキシズム患者におけるインプラントの咬合管理」日本口腔インプラント学会第29巻, 2号

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