骨膜下インプラントとは?ニーズが減った理由や現在の治療方法について解説

骨膜下インプラントとは?ニーズが減った理由や現在の治療方法について解説

インプラントの治療は歴史が古いのですが、以前の手法として主流だったのが「骨膜下(こつまくか)インプラント」と呼ばれるものです。しかし、現在はあまりに適用されません。
骨膜下インプラントとはどのような治療法だったのかについてご紹介しましょう。また、ニーズが減った理由や、現在おもに選択されている治療方法についても解説します。

骨膜下インプラントとは

骨膜下インプラントとは、あごの骨の表面を覆う形で金属フレームを乗せ、骨膜と粘膜によってフレームを固定するインプラント治療です。骨の型を取り、その形状に合わせて作成したフレームが使われます。利用される金属のフレームの素材は、主にコバルトクロム合金です。古くに開発された手法ですがそれほど定着せず、現在はほとんど選択されていません。

骨膜下インプラントのニーズが減った理由

骨膜下インプラントのニーズが減った理由骨膜下インプラントのニーズが減った大きな理由として挙げられるのが、外科的なダメージが大きいという点です。また、術中は問題がなかったとしても、長期使用期間中の圧下(歯の根っこの方向に向かって歯が移動すること)によって神経損傷が起こってしまう恐れがあります。

それから、素材の問題も関係しています。骨膜下インプラントではコバルトクロム合金などで作られた金属フレームが使われていますが、近年インプラントで使われている主な素材はチタンです。チタンは骨と結合する働きがあるため、骨膜下インプラントのように金属フレームを使った大掛かりな手術をしなくても、しっかりとインプラントを固定できるようになりました。インプラント治療にチタンを使えるようになり、骨膜下インプラントよりも難易度の低い治療が可能になったことが、骨膜下インプラントのニーズが減った大きな理由といえます。

現在の主なインプラント治療方法

現在の主なインプラント治療方法骨膜下インプラントは、インプラント治療において以前の手法といえる治療法です。現在では歯を失った部分のあごの骨にインプラント体を埋め込み、そこに人工の歯を固定する治療法が取られています。
あごの骨と結合するチタンを使うため、骨膜下インプラントに比べて部分的な治療で済むのが特徴です。しかし、治療のためには十分な量のあごの骨が必要です。もし、あごの骨が十分でない方がそのままインプラント治療を行った場合、インプラントの先端が露出する可能性があります。露出部分に汚れが溜まったり感染が起こったりすると、インプラント周囲炎やインプラントが抜け落ちるなどのトラブルにつながる可能性も高いです。

そのため、骨量が足りていない場合は以下のような骨造成のための治療が必要になります。

GBR法

GBR法とは骨造成誘導法とも呼ばれる治療法で、インプラントを埋め込む骨が少ない方でも選択可能な方法です。GBR法では骨が作られるのを誘導する効果のある素材を目的の場所にいれ、骨の幅と高さを確保します。

インプラントを埋入する際に同時にGBR法を行う場合と、あらかじめGBR法で骨量を回復させてからインプラントを埋入する方法があります。
骨が再生されるまでにかかる期間は個人差がありますが、一般的には4~6ヶ月程度です。

サイナスリフト法

上顎洞挙上術とも呼ばれる治療法です。上顎の内部には歯槽骨と呼ばれる部分があり、その更に奥に上顎洞という大きな空洞が存在します。インプラントは歯槽骨に埋入することになるのですが、特に歯周病にかかって歯がなくなった方などは歯槽骨の吸収が進行してしまい、上顎洞が拡大していることがあるのです。そのままではインプラントを埋入できないため、治療に必要な骨を増やさなければなりません。その際に取られるのがサイナスリフト法です。上顎洞を上に持ち上げ、骨を作りながらインプラントを埋入できる状態にしていきます。

サイナスリフト法が適応になるケースでは骨の厚みが足りていないため、サイナスリフト法と同時にインプラントの埋入をすることはできません。サイナスリフト法を行い、半年ほど経過して十分に骨ができてからインプラント埋入について検討することになります。

オステオトームテクニック

ソケットリフト法とも呼ばれる方法で、骨量が足りていない上顎の骨の再生手術です。インプラントの埋入に必要な骨量が足りない場合に行うことになります。前述したサイナスリフト法は上顎洞の横の歯茎からアプローチするのですが、オステオトームテクニックの場合は歯の生えていた箇所からアプローチする違いがあります。
また、オステオトームテクニックは比較的小さい範囲の骨を増やす場合に選択される方法であり、骨の厚みが最低3mm以上あることが前提です。サイナスリフト法は骨の厚みが3~5mm以下であり、広範囲の歯が欠損している場合に選択されるといった違いもあります。サイナスリフト法に比べると範囲が小さく、治療期間も3~4ヶ月程度と短いです。

最新の治療法は進化している

最新の治療法は進化している以前の手法ともいえる骨膜下インプラントについて解説しました。現在のインプラント治療はとても進化しており、骨膜下インプラントのようは大掛かりで非常に難しい治療ではなくなってきています。
骨量が足りない場合はそれを補える治療法もあるので、状況に合わせて最適な形で治療が可能です。