インプラント治療後は腫れるのが通常!腫れない手術はある?

インプラント治療後は腫れるのが通常!腫れない手術はある?

インプラント治療は外科治療に該当するため、一般的な虫歯治療などに比べると腫れや痛みが発生しやすいです。ただ、中には腫れない治療法と呼ばれているものもあるので、どの程度腫れや痛みが発生するかは、選択する手法や個人差も関係しています。

手法別に発生しやすい腫れや痛みと継続期間、手術後に行いたい対策などについてご紹介しましょう。

インプラント治療後に腫れるのは通常の反応

個人差はあるものの、インプラント治療後は腫れが発生しやすいです。これは、特に心配する必要のない通常の反応といえます。そもそもインプラント治療後に腫れるのは、身体の自然な免疫反応です。

インプラント治療は外科手術であることから歯肉をメスで切開したり、あごの骨にドリルで穴を開けたりします。このように、通常の虫歯治療などに比べると大掛かりな治療を行っているため、腫れるのは仕方がないと考えましょう。

細菌感染が原因で炎症などが起こっている場合は注意が必要ですが、そうでない場合は治療後徐々に治まっていきます。

インプラント治療後に腫れが生じる主な原因

インプラント治療後に腫れが生じる主な原因
なぜインプラント治療後に腫れが起こってしまうのでしょうか。代表的な原因は以下の3つです。

【手術直後】防御反応

手術後の腫れは、炎症を起こすことによって患部を再生しようとする防御反応が原因の可能性が高いです。それほど長く続くものではなく、一般的には2~3日ほどでおさまります。

治療内容によっても異なり、骨などの移植行った場合や、複数本のインプラント埋入した場合は10日ほど腫れることも多いです。

【手術直後】細菌感染

手術直後の腫れは防御反応の可能性が高いですが、しばらくしてから腫れが発生したり、術後10日以上経っても腫れが治まらなかったりする場合は細菌感染の可能性も考えられます。

歯科医院の衛生管理が不十分で手術中に細菌が入り込んでしまったり、術後のセルフケアが不適切だったりしたために細菌感染を引き起こしてしまうケースです。

万が一の可能性を考え、腫れが長引く場合は一度歯科医院に相談してみたほうが良いでしょう。

【手術完了後】インプラント周囲炎

インプラントの周囲が細菌感染を起こして炎症に繋がってしまった場合、インプラント周囲炎と呼ばれるトラブルを引き起こします。インプラント周囲炎は初期症状がほとんどなく、気づいた頃には症状が進行しているケースも珍しくありません。

症状が悪化した場合はインプラントが抜け落ちてしまう可能性もあるため、腫れや痛みなど何らかのトラブルで不安がある場合は一度相談してみると良いでしょう。

なお、インプラント周囲炎は必ず腫れるものではありません。インプラントの違和感や歯磨きする際の出血などにも注意しましょう。

インプラント周囲炎の詳細については『インプラント周囲炎とは?原因と対策について』でも解説しているので、参考にしてみてください。

インプラント治療における手法別の腫れや痛みとは

インプラント治療における手法別の腫れや痛みとは
インプラント治療ではどの手法を選択するのかによって、腫れや痛みの具合が変わってきます。以下の手法を選択する場合は腫れや痛みが発生することがあるので、おさえておきましょう。

骨を移植する方法

インプラント手術を成功させるためには、土台であるあごの骨の量が十分になければなりません。あごの骨の量が少ない場合は、骨移植などについて検討する必要があります。

そのためには切開が必要であり、歯肉にメスを入れることにより腫れや痛みが発生します。人工の骨を移植する場合は1ヵ所の切開で済みますが、自分の骨を移植する場合は2ヵ所の切開が必要です。

歯茎を移植する方法

インプラントを埋め込む場所に歯茎が足りていない場合、あごの骨と同じく移植が必要です。切開を伴う手法であるため、移植する歯茎を持ってくる場所、移植先の歯茎の2ヵ所が痛みます。

このうち、移植する歯茎を持ってくる場所のほうが強く痛みやすいです。

骨造成手術

インプラント治療を行うにあたり、事前にあごの骨の厚みを補わなければならないケースがあります。

あごの骨を補うための手術として、サイナスリフトやソケットリフトといったものがあるのですが、インプラント手術よりも腫れや痛みが強く出やすいです。

骨造成手術が必要になるかどうかについて確認してみてください。

無切開無痛手術

メスを使わない治療法であるため、切開をしなければならないものに比べて痛みを抑えることができます。ただ、状態によって選択できるかどうかが変わるため、他の手法でなければ対応できないようなケースも多いです。

インプラント治療における腫れや痛みの継続期間

インプラント治療における腫れや痛みの継続期間
インプラント治療中は麻酔が効いているので、基本的に痛みを感じることはありません。ただし、治療中に切開をすることから、麻酔が切れたあとに痛みが生じることがあります。

どれくらい痛むかは個人差が大きいのですが、骨造成手術を実施していない場合は大きな痛みが発生する心配はほとんどないといえるでしょう。

麻酔が切れた直後に痛みを感じる方が多いのですが、痛み止めを飲めば耐えられる程度であり、ほとんどの方が直後に痛み止めを飲むものの、その後は継続して飲まなくても問題ない状態になります。

痛みや腫れを最も感じやすい期間は一般的に2~3日程度、長く続いた場合でも1~2週間ほどです。

インプラント埋没手術を行った後に、埋め込んだ部分が腫れることがありますが、術後1~2週間で元通りになるため、万が一これよりも長く痛みや腫れが続く場合は、治療を受けた歯科医院で相談してみてください。

腫れを防ぐ術後のメンテナンス方法

腫れを防ぐ術後のメンテナンス方法
インプラント治療における腫れは仕方がないこととはいえ、少しでも腫れを抑えるためにできる対策があります。仕事や学校を何日も休むことができず、できる限り短期間で腫れを抑えたいと考えている方もいるでしょう。

細菌感染を防ぐための対策などは歯科医院で行ってもらわなければなりませんが、自分自身で注意することによって腫れを抑えることが可能です。心がけておきたいポイントについて5つ解説します。

口腔内を常に清潔な状態にしておく

できる限りお口の中を清潔な状態に保つことが重要です。お口の中が汚れている状態で放置してしまうと、細菌感染などのリスクも高くなりますし、それが原因で痛みや腫れがひどくなってしまう可能性もあります。

歯磨きの際に使用する歯磨き粉やうがい薬についての指示は医師によって異なることがあるので、指示されたことを守るようにしましょう。

できる限り傷口は触らない

傷口部分が気になって触りたくなってしまいますが、インプラント手術をした箇所はケガをしているのと同じ状態であるため、傷口が落ち着くまでできる限り、刺激を与えないようにしましょう。

口腔内を清潔にすることが重要だとご紹介しましたが、インプラント治療をした傷口付近はブラッシングせず、うがいでキレイにするようにします。ただ、強くうがいをしてしまうと傷口に負担をかけてしまう恐れがあるので、注意してください。

飲酒・喫煙を控える

インプラント治療後だけでなく、治療前もできれば避けておきたいのが飲酒と喫煙です。飲酒をした場合、お酒に含まれているアルコールの働きにより、血行が良くなります。すると傷口から出血し、傷の治りが遅くなってしまうことがあるのです。

喫煙は反対に血管を萎縮させ、傷の治りを妨げます。それだけでなく、免疫と深い関係がある白血球の活動を抑制するなどの悪影響もあるのです。

インプラントと喫煙の関係については『インプラント治療中に喫煙を避けるべき理由を解説!電子タバコはOK?』で詳しく解説しているのでご覧ください。

激しい動きを伴う仕事や運動を控える

インプラント治療後に激しい動きを伴う仕事、運動などを行った場合、血行が良くなり、傷口から出血してしまう可能性があります。できるだけ、血行がよくなるような行為は避けておきましょう。

それほど動かない仕事、運動であれば問題ないともいえますが、万が一のことを考え、できれば安静にしておいた方が良いです。仕事で忙しく動き回らなければならないようなケースでは、前もって休みを申請しておきましょう。

処方された薬は担当医の指示どおりに服用する

インプラント終了後には痛みが発生した場合の痛み止めだけではなく、抗生剤も処方されることが多いです。これらは指定された通りに飲みきるようにしましょう。

痛みがない場合は痛み止めを飲まなくても良いのですが、痛みがひどくなってから飲むよりも、早めに飲んでおいたほうが効果的です。

また、抗生剤は正しく飲みきらなければ十分な効果を発揮することができないため、注意しなければなりません。

腫れを軽減する手術「フラップレス」も検討を

腫れを軽減する手術「フラップレス」も検討を
できるだけ腫れないインプラント治療を選択したいと考えている方から選ばれているのが、「フラップレス」と呼ばれるインプラント治療法です。

通常、インプラント治療では歯肉をメスで切開し、露出させたあごの骨にドリルで穴を開けてインプラント体を埋入します。ですが、フラップレスは歯茎をメスで切開することなく、小さな穴を開けてインプラントを埋入するのが特徴です。

これにより最低限の腫れでインプラントを埋入できます。ただ、あごの骨が十分であること、埋入しようとしている場所の神経や血管が複雑ではないことなどの条件をクリアした場合でなければ選択できません。

フラップレス手術を希望する場合は、検査を受け、適用可能か確認してもらうと良いでしょう。

腫れない治療については医師に相談を

腫れない治療については医師に相談を
インプラント治療は外科手術ということもあり、腫れや痛みが発生することがあります。しかしご紹介したように、できる限り腫れや痛みを抑えて手術できる方法もあるため、自分の現在の状態でそれが選択可能かどうか相談してみましょう。

治療後に腫れや痛みが強くなってしまったときに、どのように対応すれば良いのかについても話を聞いておくと安心できるはずです。