インプラント治療後の歯磨きの注意点や歯磨き粉の選び方を解説

インプラント治療後の歯磨きの注意点や歯磨き粉の選び方を解説

インプラント治療を行ったあとは、口腔内を清潔な状態に維持するため、歯磨きに注目する必要があります。日常的に行っている歯磨きではありますが、正しくできなかった場合にはどのようなリスクがあるのでしょうか。

気をつけておくべきポイントや正しい歯磨きを実践するためのコツなどについてご紹介します。また、歯ブラシや歯磨き粉を選ぶポイントについても解説します。できるだけインプラントを長く快適に使い続けたいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。

インプラント治療後の歯磨きを怠るリスク

インプラント治療後の歯磨きを怠るリスクインプラント治療後に歯磨きを怠った場合、治療を行った周囲の骨や歯茎に「インプラント周囲炎」と呼ばれるトラブルが発生してしまうことがあります。これはインプラントの歯周病のようなものであり、インプラントが抜け落ちてしまう大きな原因です。

炎症がひどくなる前に対処することが重要なのですが、それよりも心がけたいのが日々の歯磨きで口腔内を清潔にすることだといえます。メンテナンス不足が大きな原因なので、注意しましょう。

インプラント周囲炎の具体的な症状やセルフチェック、対策などについては『インプラント周囲炎とは?原因と対策について』で詳しくご紹介しています。

正しいセルフ歯磨きのコツとは

正しいセルフ歯磨きのコツとは毎日の歯磨きをする際に、どういったことに注意していけば良いのかについてご紹介しましょう。正しい方法で歯磨きを実践することができれば、それだけインプラントを長持ちさせることができます。

特に、虫歯などが原因で歯を失い、インプラント治療を行った方の場合、それまで行っていた歯磨きの方法が正しくない可能性もあるので注意してみてください。

正しい歯ブラシの持ち方や磨き方を学ぶ

まず重要なのが、歯ブラシの持ち方です。力を入れて持ってしまうと磨き残しが発生しやすくなるので、親指と人差し指、中指の3本の指で優しく歯ブラシを持ちましょう。

鉛筆を持つような感覚で行ってみるとわかりやすいです。握って持つパームグリップという持ち方もあるのですが、力が入りやすい方には向いていません。

歯磨き粉の適量は米粒大

歯磨き粉をたくさん付けたほうがキレイに磨けるように感じてしまいますが、米粒大で十分です。歯磨き粉には爽快感のある香料が含まれているので、付けすぎてしまうときちんと歯磨きができていなくても磨けたように錯覚してしまいます。

順番を決めて磨く

歯全体をしっかりと磨くためには、順番を決めてから磨くのが効果的です。例えば、以下のような流れで、すべての歯をきちんと磨くことができるようにしましょう。

  1. 右下奥の頬側を左側に向かって磨く
  2. 左下奥の舌側を右側に向かって磨く
  3. 右上奥の頬側を左側に向かって磨く
  4. 左上奥の舌側を右側に向かって磨く
  5. 上下の噛み合わせを磨く

大きく歯ブラシを動かして磨くのではなく、2本ずつ20回歯ブラシを動かすような感覚で磨き、できれば5分ほど時間をかけましょう。鏡を見ながら行い、毛先が広がらない程度の力加減で行います。

歯並びが悪い方などは、通常の歯ブラシだけでなく、ピンポイントで汚れを落とすのに適している小さなブラシが特徴的な、「ワンタフトブラシ」も活用しながら磨いてみましょう。

歯ブラシを選ぶ際のポイント

歯ブラシを選ぶ際のポイント正しい歯磨きをするためには、自分に合っている歯ブラシを選択することが重要です。注目したいポイントを見ていきましょう。
なお、歯ブラシは使っているうちに少しずつ毛先が開き始め、うまく磨くことができなくなるので、1ヶ月に1回程度は交換が必要です。

ヘッドの大きさ

ヘッドが大きすぎると奥歯を磨くのが難しくなるので、磨き残しが発生しやすくなります。毛束が横3~4列、縦幅については親指幅分くらいの大きさのものがおすすめです。

持ち手の形状

変わった形のデザインのものよりも、まっすぐなもののほうが持ちやすいです。特に歯磨きが苦手な方は、まっすぐなものから選択してみてください。

毛の硬さ

「ふつう」または「やわらかめ」をおすすめします。歯茎などに炎症がない場合は、ふつうのものを選択すると良いでしょう。ただ、歯磨きをする際にどうしても力が入ってしまう方は、やわらかめを選択しておいたほうが歯茎にかける負担が少ないです。

ふつうや、やわらかめだと磨いた感じがしないと、「かため」を選択してしまう方がいますが、きちんと力加減のコントロールができていない方だと歯茎が傷つきやすいだけでなく、インプラントに悪影響を与えてしまう可能性があるので、注意しましょう。

毛の種類

歯ブラシの素材として主流であるナイロン製の物で問題ありません。高級素材で作られたものもありますが、例えば動物の毛で作られているようなものはナイロン製の歯ブラシに比べて乾燥しづらく、衛生管理が難しくなります。

電動歯ブラシは使用してもいい?

電動歯ブラシは使用してもいい?通常の自分の手で磨く歯ブラシではなく、電動歯ブラシをプラークコントロールに役立てる事も可能です。インプラント治療を行った場合も、電動歯ブラシの使用は特に問題ありません。

手で磨くのに比べて短時間で汚れを落とせるので、なかなか時間が取れず、丁寧な歯磨きができない方にも向いています。

ただ、製品選びにはこだわりましょう。電動歯ブラシは大きく分けると電動歯ブラシ、音波歯ブラシ、超音波歯ブラシの3種類があり、それぞれ特徴と向いている人が違います。

インプラント治療を行ったあとに向いているのは、歯の表面だけでなく隙間の汚れも落とせる音波歯ブラシ、歯周病対策としても役立つ超音波歯ブラシです。口腔内の状態によっても最適な製品が異なるので、医師に相談してみるのも良いでしょう。

歯磨き粉を選ぶポイント

歯ブラシ選びと同じくこだわりたいのが、歯磨き粉です。特に、研磨剤に関することとフッ素、配合成分に注目してみてください。ポイントを解説します。

粒子が大きい研磨剤入り歯磨き粉は控える

研磨剤自体に虫歯を予防する力はないのですが、ステインを落とす効果や、ホワイトニング効果があることから多くの歯磨き粉に使われています。

ですが、研磨剤の粒子が大きくて粗い場合、インプラントと歯茎の間に入り込んでしまうことがあるのです。すると、炎症が発生してしまい、インプラントの状態が悪化してしまう可能性があります。

また、研磨剤で汚れを落とす際に歯の表面が削れてしまうと、そこに汚れが付きやすくなるので注意が必要です。研磨剤が入っている歯磨き粉を使用する際は、粒子が小さいものを選択しましょう。

フッ素入りの歯磨き粉は濃度に注目して選ぶ。

歯を守るために活用したいのが、フッ素配合の歯磨き粉です。フッ素には虫歯の発生を防ぐ効果があります。フッ素配合の歯磨き粉を選ぶ際には、濃度に注目しましょう

9,000ppm以上の高濃度フッ素はインプラントに使われているチタンを腐食させる可能性があるとされていますが、国内で販売されている商品のフッ素濃度は1,500ppm未満なので、心配はいりません。フッ素濃度が低すぎる場合は期待している効果が得られないこともあります。

口の状態に合わせて配合成分を選ぶ

歯磨き粉は、とにかく洗浄成分が強いものを選択すれば良いわけではありません。口腔内の状態に合わせ、最適な成分が配合されているものを選ぶのがおすすめです。

例えば、虫歯になりやすい方は虫歯を予防する効果が期待できるフッ素配合のものを選択する、歯周病のリスクがある方は抗炎症成分や殺菌成分配合のものを選ぶなどの方法があります。

ただ、自分の場合はどの商品を選べば良いのかわからないことが多いので、専門家である歯科衛生士や担当医に相談しましょう

歯科医院での指導もよく確認を

歯科医院での指導もよく確認をインプラント治療前におさえておきたい、歯磨きの基本についてご紹介しました。インプラント治療を行う際には、どのように磨けば良いのか指導してもらえることが多いです。

歯科衛生士が口の中の状態を確認したうえで、磨き残しが発生しやすいポイントや、キレイに磨くためのコツを教えてくれるので、わからないことなどがあれば、その際に確認してみましょう。

毎日の丁寧な歯磨きができるかどうかによって、インプラントを長持ちさせられるかが変わってくるので、念入りに行うことが重要です。