インプラント治療の平均的な期間や延びる要因を解説

インプラント治療の平均的な期間や延びる要因を解説

比較的短い治療期間で済む虫歯治療とは異なり、インプラント治療は数ヶ月間かけて行う必要がある外科手術です。状態や選択する手術方法によっては3ヶ月程度の通院で済むこともあります。

しかし長くかかった場合には、1年程度の治療期間が必要になるため、どのようなことにどういった時間・期間が必要になるのかについておさえておきましょう。治療期間や各ステップの通院回数などについてご紹介します。

平均的なインプラント治療の期間

平均的なインプラント治療の期間インプラントの治療期間は、平均して平均3ヶ月~7ヶ月程度、長くかかった場合は1年程度となっています。

かなり幅がありますが、これは口腔内の状態によって行わなければならない治療が変わったり、選択するインプラント治療の方法によって違いがあったりするためです。

インプラント治療を行う場合、先に口腔内の状態を整えておかなければなりません。自分の場合はどの程度の期間がかかりそうかについては事前に相談、確認しておいたほうが安心です。

治療期間が延びる要因

治療期間が延びる要因治療期間が延びてしまう代表的な要因として挙げられるのが、あごの骨が足りていない、歯周病が進行しているなどのトラブルです。それぞれ解説します。

あごの骨が足りていない

インプラントは、フィクスチャー(インプラント体)と呼ばれるものをあごの骨に埋入し、そこに人工歯を装着する治療法です。そのため、あごの骨が十分にない場合、そのままではフィクスチャーを埋入できません。

骨移植やサイナスリフト、ソケットリフトなどの方法で先にあごの骨を増やすための治療をしてからインプラント治療を行うことになります。少しずつあごの骨が増えるのを待つ形なるため、十分な骨の量を確保できるになるまで6~10ヶ月ほど待たなければならないケースが多いです。

自分の場合はどの程度の期間がかかりそうか事前に確認しておくことをおすすめします。

歯周病が進行している

歯周病がひどい場合、先に治療が必要です。歯周病の治療をすることなくインプラント治療を行ってしまった場合、インプラント周囲炎と呼ばれるトラブルのリスクが高くなってしまいます。

また、歯周病の状態によっては歯茎が下がってしまうことがあるのですが、その場合はインプラントが安定しなくなるので歯肉移植手術が必要になることもあります。

歯周病の治療期間は、軽度の方であれば1~2ヶ月程度です。ですが、症状が重い場合は半年から1年ほどかかってしまうこともあります。

歯周病を早く改善させるには、歯科医院での適切な治療はもちろんのこと、自宅でのセルフケアも必要です。適切なケアができているかどうかによって治療にかかる期間が変わります。

インプラント治療の流れとそれぞれの治療にかかる期間

インプラント治療の流れとそれぞれの治療にかかる期間インプラント治療はどのような流れで行われるのかについてご紹介します。また、それぞれの治療にかかる期間についても解説します。

治療計画および精密検査

インプラント治療は外科手術であるため、事前に十分な治療計画を立て、精密検査も行う必要があります。

レントゲンやCT撮影を行うほか、口腔内模型なども使用して治療方針を検討していくことになるので、各種検査やカウンセリングといったものに長い時間をかけているのです。

次に必要な回数は2~3回程度となります。検査結果をまとめたり、模型を作成したりするのに時間がかかることもあるため、通院期間は2日~2週間ほどです。カウンセリングの際にわからないことや気になることがあれば相談してみましょう。

治療する際に何か希望がある場合は、こちらも忘れずに伝えてください。実際に治療が始まってから希望を伝えたとしても、対応できない可能性があるため、注意が必要です。

更に詳細な治療計画に関することは『インプラントの治療計画書は事前に必ず確認しよう!』で解説しています。治療計画書に書かれている内容や、なぜ治療計画書が重要なのかなどについてもまとめているので、参考にしてください。

人工歯根埋入手術

歯茎の歯肉を切開し、あごの骨にドリルで穴を開けてインプラントの土台であるフィクスチャーと呼ばれる部品を埋入します。

手術に必要な日数は1日であり、基本的に入院は必要ありません。手術にかかる時間は、手術前に行う口腔内の清掃などを含めて2~4時間程度となっています。

インプラント治療には、1回の手術で済ませる1回法、2回手術を行う2回法があり、それぞれ治療の流れが異なるのでおさえておきましょう。

2回法の場合は1回目の手術でフィクスチャーを埋入した後、歯肉を縫い合わせてインプラントと骨が結合するのを待ちます。手術後は抜糸や消毒、経過観察などのために通院が必要です。他人工歯根埋入手術関連で通院に必要な回数は4~6回、通院期間は3~7ヶ月程度です。

1回法の場合は1回の手術でフィクスチャー埋入の他に、フィクスチャーと人工歯である上部構造をつなげるための部品であるアバットメントの取り付けまで行います。こちらの場合、人工歯根埋入手術のための通院回数は1~2回程度、通院期間は1日~2週間です。

通院期間に幅がありますが、個人差や、歯科医院による違いが関係しています。詳細については治療計画で確認するか、直接質問をしてみるとわかりやすいです。

インプラント手術の詳細については『インプラント手術の1回法と2回法の違いについて解説』でご紹介しています。1回法と2回法では何が違うのかについて確認してみてください。

インプラント定着期間

1回法、2回法のどちらで手術を行った場合も、フィクスチャーとあごの骨が結合するまでに3~6ヶ月程度定着期間が必要です。

なお、2回法の場合はフィクスチャーの定着が確認されたあとに2回目の手術が必要で、再び歯肉を切開してフィクスチャーの頭部を出し、アバットメントの装着を行います。その後、傷口がふさがるまで2~4週間ほど待って次のステップに進みます。

人工歯の装着

先に仮歯を装着してから型を取り、人工歯を作ります。人工歯である上部構造ができるまで1~2週間ほど待ち、できあがった上部構造をアバットメントと連結させて完了です。人工歯のセットにそれほど時間はかからず、30分程度で終了します。

治療期間が短いインプラント2種

治療期間が短いインプラント2種インプラントの治療法中には、一般的なインプラント治療と比較して大幅に短い期間で治療できるものがあります。中でも代表的な1dayインプラント、即時負荷インプラントについてご紹介しましょう。

1dayインプラント

1dayインプラントとは、その名の通り1日で完了するインプラント治療をいいます。1回目の通院時に検査などを行い、2回目の通院時にインプラント手術をするのが一般的です。通常の治療とは異なり、最低2回の通院でインプラント治療が完了します。

1dayインプラントでは、手術と同時に仮歯を入れることになるため、軽い食事であればその日から可能です。入院の必要もありません。
特に、総入れ歯の方や、すべての歯がない方に向いています。

また、通常のインプラント治療が難しいと言われた方でも検討できるケースがあるので、相談してみてはいかがでしょうか。

即時負荷インプラント

即時負荷インプラントとは、外科手術を1回のみ行う1回法と呼ばれる方法の一つです。インプラントを埋入した後に仮歯を装着し、数ヶ月経過してから人工の歯を装着するのとは異なり、1回目の手術の際に人工歯を装着します。

通院回数が少なくなるので、仕事が忙しいなど何らかの理由によって頻繁に通えない方におすすめです。また、手術や通院回数が少なく済むことからその分コストを抑えられます。

ただ、あごの骨の量と質のどちらも基準を満たさなければ選択はできません。さらに通常のインプラント治療よりも対応している歯科医院が少ないデメリットもあります。

治療を検討している歯科医院がある場合は、即時負荷インプラントの実績がどの程度あるのか確認して検討したほうが安心です。

それぞれの段階でかかる治療期間を確認

それぞれの段階でかかる治療期間を確認インプラントの治療期間についてご紹介しました。インプラント治療では一度手術をして終わりではなく、フィクスチャーとあごの骨が結合するのを待ったり、傷口が治るのを待ったりしたうえで、次のステップに進む必要があります。

そのため治療期間が長くなるので、すべて完了するまで自分の場合はどれくらいかかりそうなのか、確認しておくと安心できるでしょう。1回法と2回法のどちらを選択するのかによっても全体的な流れが変わります。