インプラント手術の1回法と2回法の違いについて解説

インプラント手術の1回法と2回法の違いについて解説

インプラント手術には、1回だけ手術を行う1回法、2回手術を行う2回法の2種類があります。1回で済ませられるほうが良いと考えてしまいますが、2回法ならではのメリットもあるため、それぞれの違いや特徴についてご紹介します。

また、どちらの方法を行うかによって手術をする際の流れも異なるので、全体的な流れを確認するのに役立ててみてください。

インプラント手術における1回法と2回法の違い

1回法と2回法では、行われる治療方法や向いている人や特徴が異なります。それぞれの違いについて解説します。なお、成功率についてはほとんど同等と言われています。1回法と2回法の違いについてまとめました。

1回法 2回法
外科手術 1回 2回
体への負担 軽い 重い
対応できるケース 少ない 多い
治療期間 短く済む 長くかかる
インプラント脱落のリスク 高い 低い
細菌感染リスク 大きい 抑えられる

手術の特徴からご紹介します。

1回法とは

インプラント治療は、歯肉を切開したらあごの骨にドリルで穴を開け、そこにフィクスチャーと呼ばれる部品を埋入し、アバットメントと呼ばれる部品で人工歯を装着する治療法です。

1回法では、フィクスチャーの埋入と、アバットメントの設置までまとめて行います。従来は2回法が主流だったのですが、近年は1回法が選択できる場合は、1回法で対応している医師が多いようです

アバットメントを装着した後、歯肉を閉じることはないので、歯肉からアバットメントが露出した状態となります。

2回法とは

2回法は、フィクスチャーを埋入する手術を行い、3~6ヶ月ほど経過してからアバットメントを設置する手術を行う方法です。そのため、2回外科手術を行うことになります。

1回目の手術をした後は歯肉を縫合し、インプラントの素材と骨が結合したうえで2回目の手術に進むのが特徴です。あごの骨が少ないために通常のインプラント治療が難しい場合は、先にあごの骨を増やす治療を行ったうえで一次手術が行われます。

また、口内環境や持病などの関係で一次手術後の治癒期間を長めに取らなければならないケースも多いです。

1回法と2回法のメリット・デメリット

1回法と2回法のメリット・デメリット
インプラント手術の1回法と2回法では、メリットとデメリットが異なります。1回法を希望していたとしても、口腔内の状況によっては2回法しか選択できないようなケースも多いです。それぞれのメリット、デメリットについてご紹介します。

1回法手術のメリット

1回法は、外科手術を一度で済ませることができるため、身体への負担が少なく済むのが大きなメリットです。また、2回外科手術を行うのと比較すると治療費が安くなります

また、1回法では一般的に1ピースタイプのインプラントが使われているのが特徴です。1ピースタイプとは、あごの骨に埋め込むフィクスチャーと、アバットメントが一体化したタイプのものをいいます。

下部構造が一体型であるため、それぞれ別になっている2ピースタイプと比べて耐久性が高いのもメリットです。

1回法手術のデメリット

1回法のデメリットとして、歯茎やあごの骨が少ないと治療不可となる場合があることが挙げられます。場合によっては2回法しか選択できない方も多いです。

1回法でも骨移植や骨再生などを併用した治療もあるのですが、その場合はどうしても術式が複雑になってしまいます。そのため、感染のリスクが高くなってしまう可能性が懸念されるのもデメリットです。

2回法手術のメリット

2回法は、1回法と比較して安全性が高いと言われています。1回の治療でアバットメントの装着まで行う1回法とは異なり、2回法では一次手術の後に歯肉を縫合します。

1回法のようにアバットメントが露出した状態だと縫合している状態と比べて感染リスクが高くなるため、できるだけ感染リスクを抑えたい場合は2回法がおすすめです。

アバットメントが露出した状態だと食事をする際に負荷が加わり、フィクスチャーがきちんと骨と結合するまでに時間がかかってしまうことがありますが、そういった心配もありません。これにより、インプラントの脱落リスクも抑えることが可能です。

フィクスチャーを埋入したうえで縫合し、十分な治癒期間を取ることができるため、余裕をもって治療できるのも大きなメリットです。あごの骨が少ない方であっても2回法なら対応できることがあるため、1回法に比べて対応できる範囲が広いメリットもあります。

2回法手術のデメリット

2回法のデメリットとして注意しておかなければならないのが、外科手術を2回行わなければならない点です。1回法に比べて、身体への負担が大きくなりますし、2回施術をすることから治療費も高くついてしまいます

年齢や持病などの関係で外科手術が負担になってしまう方の場合、可能であれば1回法を選択した方が良いケースもあります。

また、インプラント治療が完了するまでにかかる期間も長くなるのがデメリットです。あごの骨が足りず、骨造成術が必要な場合は、更に長い期間がかかってしまうこともあります。

どの程度の期間がかかるのかについては、口腔内の状態などによって大きく変わってくるため、個人差が大きいです。自分の場合に必要になる期間については事前に確認しておきましょう。

インプラント手術における1回法の詳しい流れ

インプラント手術における1回法の詳しい流れ
1回法の場合は以下の流れで行います。

1.インプラント埋入手術

局所麻酔をしてから歯肉を切開し、あごの骨にドリルで穴を開けます。その後、フィクスチャーとアバットメントを取り付けますが、アバットメントが露出している状態になるため歯肉は閉じません。

2.顎骨との結合期間

アバットメントが露出した状態で、フィクスチャーと骨が結合するのを待ちます。かかる期間は患者さんの骨の状態などによって異なります。

3.人工歯の装着

型取りをして人工歯を作り、できあがった人工歯をアバットメントに装着します。

インプラント手術における2回法の詳しい流れ

インプラント手術における2回法の詳しい流れ2回法の流れは以下の通りです。

1.インプラント埋入手術(一次手術)

1回法と同じく、局所麻酔をしてから歯肉を切開し、あごの骨にドリルで穴を開けます。フィクスチャーを埋入し、歯茎を縫合します。

2.顎骨との結合期間

結合期間を置き、フィクスチャーと骨が結合するのを待ちます。骨の状態などによってかかる期間は異なるものの、一般的には3ヶ月~6ヶ月ほどの結合期間が必要です。

3.二次手術

再度局所麻酔をしてから歯肉を切開し、フィクスチャーにアバットメントを装着します。

4.人工歯の装着

二次手術の傷が癒えるまで2~4週間ほど待ち、人工歯の型取りを行います。その後、できあがった人工歯をアバットメントに装着します。

歯科医院によっても選択できる方法が異なる

歯科医院によっても選択できる方法が異なる
インプラント治療で行われている、1回法と2回法の違いについてご紹介しました。それぞれ特徴や向いている人が異なるので、自分の場合はどちらが最適かについて、歯科医院で相談してみてはいかがでしょうか。

ただ、歯科医院によってどちらか一方しか選択できない場合があります。1回法と2回法では、それぞれメリットとデメリットが異なるため、いずれかの方法しか選択できない場合、自分にとって本当に適している治療法が、選択できない可能性があるので注意しましょう。

池袋デンタルオフィスでは、1回法と2回法の双方とも受診可能となっているので、お気軽にご相談ください。

また、患者一人ひとりの口腔内環境やインプラントに対する希望などを踏まえたうえで、最適な治療方法を提案しているので、自分に向いているインプラント治療がわからない、自分の口腔状態についてよく理解したうえで、治療を検討したいと考えている方でもご安心いただけます。