インプラント治療には食事や会話のしやすさだけでなく、認知症予防効果も期待できる歯科治療です。60歳以上でインプラントを装着している方は多いですが、老後に向けてインプラント治療を受けることには数々のメリットがあります。
今回の記事では認知症予防効果も含め、インプラント装着により老後に感じられるメリットを5つご紹介します。インプラント治療を受けるか迷っている方は、認知症を予防できるとされる理由も含め参考にしてください。
60歳以上でもインプラント治療は可能?
インプラント治療は60歳以上の方でも可能です。実際に厚生労働省からの報告によると、各年齢ごとのインプラント装着率は次のように報告されました。
年齢 | 被調査者数 | インプラント装着者割合 | インプラント装着者数 |
---|---|---|---|
40~44歳 | 254人 | 2.0% | 5人 |
45~49歳 | 202人 | 1.5% | 3人 |
50~54歳 | 221人 | 1.4% | 3人 |
55~59歳 | 254人 | 2.8% | 7人 |
60~64歳 | 351人 | 2.3% | 8人 |
65~69歳 | 503人 | 4.3% | 21人 |
70~74歳 | 380人 | 3.7% | 14人 |
75~79歳 | 319人 | 3.4% | 10人 |
80~84歳 | 224人 | 2.7% | 6人 |
出典:厚生労働省「(PDF)平成28年歯科疾患実態調査結果の概要」
厚生労働省のデータに加えて、データから算出したインプラント装着者数を表にまとめました。
報告内容を確認すると、各年代で60歳未満より60歳以上の方が被調査者数・インプラント装着者の割合ともに多くなることがわかります。60歳以上の方でもインプラント治療は可能であり、実際にインプラントを装着している方も60歳代から70歳代に多い傾向です。
老後のために入れ歯ではなくインプラント治療をするメリット
義歯として入れ歯ではなくインプラント治療を選択することには、老後へ向けて次のようなメリットがあります。
しっかり噛むことができる
顎の骨に直接挿入するインプラントであれば、硬い食べ物でもしっかりと噛むことができます。インプラントほど安定感がない入れ歯では噛みにくいと感じる食べ物でも臆することなく食べられるようになり、食事の楽しみを邪魔しません。
食事をより味わうことができる
「入れ歯にすると食事がおいしくない」と言う高齢の方もいますが、インプラントであれば食事を天然歯のときと同じように味わえるようになります。
入れ歯で食事がおいしくなくなったと感じがちなのは、食べ物の味や温度が伝わりにくかったり、隙間に食べ物が挟まって痛みを感じたりしやすくなるためです。しかしインプラントであれば味や温度を感じやすく、隙間に食べ物が挟まってしまうこともありません。
認知症予防につながる
インプラントでしっかりと咀嚼できるようになることは、認知症予防にもつながると考えられています。
日本口腔インプラント学会からの報告では、歯の本数が少なく、義歯未装着の方ほど認知症発症リスクが高くなったと報告されました。
その理由は咀嚼機能が低下することに比例して、咀嚼による脳への刺激が低下するためだと考えられています。また歯ごたえがある生野菜などの食べ物を避けるようになることで、ビタミンなど必要な栄養素が十分に摂取できなくなることも原因のひとつ。
インプラントでしっかりと噛める義歯を手に入れれば、咀嚼機能の低下も最小限に押さえられ、認知症予防につながると考えられることも大きなメリットです。
参照:山本龍生「(PDF)歯科から考える認知症予防への貢献」日口腔インプラント誌第30巻第4号
他の健康な歯を維持できる
インプラント治療にはインプラントにした歯だけでなく、他の歯への影響を抑え、健康な歯を維持しやすくなるメリットもあります。
部分入れ歯やブリッジは他の歯を支えにして装着することから、支えとなっている歯への負担が大きく、健康な歯まで失われやすくなることがデメリット。
しかしインプラントは他の歯を支えにすることなく、単独で機能します。そのため他の健康な歯に悪影響を及ぼすこともなく、天然歯をより多く残すために有効な治療法です。
違和感なく会話することができる
天然歯に近い見た目を持ち、ガタつくことの少ないインプラントなら食事だけでなく、会話も今まで通り楽しめます。入れ歯にすると発音に違和感を抱くこともありますが、インプラントなら天然歯と同じようにスムーズに発音ができるはずです。
食事や会話など、日常生活で欠かせない行動をインプラントにする前と遜色なく行うことができます。老後の質を高めるならインプラント治療は大変おすすめな治療方法だと言えます。
インプラントのメリットは認知症を予防し生活の質を高められること
老後のためにインプラント治療を受ける5つのメリットをご紹介しましたが、インプラントには食事や会話を楽しめることだけでなく、認知症を予防する効果も期待できます。
入れ歯はガタつきや食事のときの痛み、発音のしにくさなどが気になることがありますが、顎の骨に直接挿入するインプラントであれば、天然歯と変わらない使い心地で日常生活への不便も少なくなるでしょう。
インプラント治療は60歳以上の方でも受けられ、老後の生活を充実させるためにおすすめの歯科治療です。