【考察】インプラント治療は将来的に保険適用の対象となるのか?

【考察】インプラント治療は将来的に保険適用の対象となるのか?

インプラント治療はとても魅力的ではありますが、費用の問題で悩んでいる方もいるのではないでしょうか。具体的な金額は選択する治療によって異なるものの、インプラント治療では外科手術が必要になるため、治療費が高額です。

そこで、保険が適用されるのかどうか気になっている方のため、インプラント治療と保険について詳しくご紹介します。

治療は「保険診療」と「自由診療」に分かれる

医療機関で受けられる治療には、保険が適用になる保険診療のものと、適用にならない自由診療のものがあります。

保険が適用になるものといえば、基本的に病気やケガの治療に関するものです。国民健康保険など、医療・健康保険によって医療費の7~8割が負担され、窓口で支払う金額は総額の2~3割で済むのが特徴です。

一方、自由診療とは保険が提供されない治療方法のことをいいます。具体的な治療費については医療機関が独自に設定可能となっており、同じ治療内容でも治療を受ける医療機関によって治療費が異なるのが特徴です。

保険が適用されないということは、かかった治療費は全額自己負担となります。

インプラント治療は基本的に自由診療

インプラント治療は基本的に自由診療

インプラント治療は歯科医院で受けられますが、一般的な虫歯治療などとは異なり、自由診療の扱いになります。窓口で100%自己負担の形で費用を支払わなければなりません。

外科手術を伴う治療なので、具体的にどれくらいの費用がかかるのかについては必ず事前に確認しておいたほうが良いでしょう。

保証対象外の理由については『インプラント治療は自費診療(保険外診療)が基本!保険適用になる可能性は?』で詳しくご紹介しています。

なぜ?将来的にもインプラント治療は保険適用対象にならないとされる理由

なぜ?将来的にもインプラント治療は保険適用対象にならないとされる理由

インプラントが保険診療の対象ではない理由として、その他の治療法があること、治療内容が最小限とはいえないことが関係しています。それぞれ詳しくご紹介します。

ブリッジ・入れ歯という他の選択肢があるから

歯を失った場合、それを補う選択肢として、インプラント以外にもブリッジや入れ歯があります。ブリッジや入れ歯の中にも自由診療となるものはありますが、どちらも保険診療の対象となる治療法が用意されています。

これら保険適用の治療に比べると、インプラント治療は外科手術を伴うこともあり、コストだけでもなく、時間もかかる治療法です。保険が適用されるブリッジや入れ歯などの選択肢がある以上、これらの上位治療ともいえるインプラント治療は保険の対象となりません。

審美性が高く、”必要最小限”の治療ではないから

そもそもなぜインプラント治療が必要最小限の治療として認められないのかというと、審美性が高いことが大きく関係しています。

保険適用となる治療は、病気に対する必要最小限の治療です。必要最小限の治療とは、その治療を行わないと生活するうえで支障があるようなもののことをさします。

歯を失ったままの状態だと咀嚼や発音、噛み合わせなどに悪影響があることから、治療を受けなければなりません。しかし、これらの問題を解決するための治療法としては、ブリッジや入れ歯で十分と考えられているのです。

インプラント治療は審美性に優れており、機能的な問題の改善に加え、見た目などをよくするため活用できる治療法です。つまり、機能性を取り戻す目的であればインプラント治療までは必要ないと考えられてしまうことから保険が適用されません。

このような理由があるため、将来的にインプラント治療がすべて保険適用になる可能性は低いといえます。

例外あり!インプラント治療が保険対象となる条件とは?

例外あり!インプラント治療が保険対象となる条件とは?

基本的に保険の対象外となってしまうインプラント治療ではありますが、ごくまれなケースでは保険が適用可能です。そのケースとして、まず、2012年4月の歯科診療報酬改定によって一部保険適用の診療へと変更された「インプラント義歯」の対象となる治療が挙げられます。

インプラント義歯が適用できる代表的なケースは以下のようなものです。

  • 外傷や疾患などによって広範囲にわたりあごの骨を欠損した
  • 先天性疾患によってあごの骨の形成が不完全である
  • 先天性疾患によって多数の歯が欠損している

上記いずれかに該当し、更に保険適用の条件を満たしている医療機関で治療を受けた場合に限り保険診療として認められます。

また、以下のいずれかに該当し、インプラント以外のブリッジや入れ歯などでは治療が難しいような場合に行うインプラント治療も保険の対象です。

  • 先天的な疾患であごの骨が3分の1以上欠損している
  • あごの骨に形成不全が見られる
  • 骨髄膜炎・腫瘍などの病気、事故によるケガなどで広範囲にわたってあごの骨を失った

該当する場合は医療機関で相談してみると良いでしょう。保険が適用される医療機関にはいくつか条件が定められています。保険適用の条件さえ満たしていればどの歯科医院で治療を受けても保険が適用されるわけではないので、注意しましょう。

自由診療で治療を受けることになる

自由診療で治療を受けることになる

インプラント治療は現在自由診療であり、将来的にも広く保険診療が認められることは期待できません。インプラント治療について検討しているのであれば、自由診療で費用を負担することになると考えておきましょう。

具体的な費用、治療内容については歯科医院によって違いが大きいので、よく確認してみてください。