インプラント治療を終え、埋入したインプラントの状態が落ち着くまでには早くて半年程度、場合によっては1年程度かかるとされています。その後は快適に使えるケースが多いのですが、治療後しばらくしてから発生する痛みはあるのでしょうか。
注意すべき痛みの問題と、痛みが発生するケースで考えられる理由、予防のための対応などについてご紹介します。
インプラント治療の数年後に痛みが出ることはある?
インプラント治療はメスを使った外科手術を伴うこともあり、治療後に痛みが発生するのは不思議なことではありません。ほとんどの場合は手術後2~3日程度で良くなるのですが、治療の数年後に痛みが出てしまうケースもあります。
中には、10年以上経過してからインプラント治療を行った部分がうずく、痛みを感じるといった方もいるようです。
治療の数年後に痛みが出る主な理由
インプラント治療をしてから数年後に痛みが発生している場合、何らかのトラブルが起こっている可能性を疑いましょう。代表的なトラブルは以下の4つです。
インプラント周囲炎になっている
インプラント治療を行った部分が炎症を起こす「インプラント周囲炎」は、インプラント関連の代表的なトラブルといえます。
これは、歯周病とよく似た病気であり、細菌感染によって発症します。周辺の組織が炎症を起こした状態になるのですが、初期のインプラント周囲炎は腫れが小さく、症状に気づきにくいのが特徴です。
状態が悪化してから歯科医院を訪れるようなケースも多いのですが、早期治療が求められます。普段からインプラント周囲の様子をよく確認するなどして、いち早く気づけるように注意しておきましょう。
インプラント周囲炎については『インプラント周囲炎とは?原因と対策について』で詳しくご紹介しています。
緩みにより噛み合わせが悪くなっている
インプラントは、あごの骨に埋入しているフィクスチャー(インプラント体)と、人工歯である上部構造を、アバットメントと呼ばれる部品で固定しています。
フィクスチャーとアバットメントは小さなネジで固定されているのですが、このネジにゆるみが発生していると噛み合わせが悪くなり、痛みにつながってしまうことがあるのです。
普段食事をする中で少しずつインプラントを連結しているネジが緩むのは珍しいことではありません。噛み合わせが変わってきた気がする、インプラントがガタついているなど、何かあれば、歯科医院に相談してみてください。
ネジを締め付けるだけで状況が改善することも多いです。
インプラントに近い歯が虫歯になっている
インプラント自体は虫歯になることがないのですが、周囲に虫歯が発生した場合、インプラントにも悪影響をおよぼしてしまうことがあります。自覚している虫歯があれば、歯科医院で相談してみてください。
インプラントに近い歯が炎症を起こしている
虫歯と同じく、周囲の歯の炎症もインプラントに悪影響をおよぼします。炎症の中にはすぐに歯科医院で治療を受けた方が良いものもあるため、自己判断で「大丈夫だ」と決めつけてしまうのはおすすめできません。
歯科医院で相談すると安心です。
数年後痛みが発生しないように今日からできること
インプラント治療後にどのような理由で痛みが発生するのかは、その時になってみなければわかりません。ですが、数年後に痛みが発生する可能性をできるだけ低くするためにも、以下の3つに注目してみてください。
毎日のケアを怠らない
インプラントを良好な状態で長持ちさせるためには、毎日のケアが欠かせません。セルフケアとして、丁寧な歯磨きを行い、口の中をできるだけ清潔な状態に保ちましょう。
インプラント治療を行った直後は注意してセルフケアに力を入れる方が多いのですが、しばらくして気がゆるんできた頃に痛みなどのトラブルが発生しやすくなります。
油断するとすぐにプラークがたまり、トラブルにつながってしまうことがあるので、歯と歯の間やインプラント周りの溝なども丁寧に磨くことが重要です。
歯科医院による定期メンテナンスを受ける
毎日のセルフケアを丁寧に行っていたとしても、取り除けない汚れがあるので、歯科医院でのメンテナンスも必須です。推奨された頻度で通うようにしましょう。
定期的なメンテナンスを受けておけば、万が一何かトラブルが発生している場合もいち早く気づけます。
禁煙・節煙を心がける
インプラントの状態を悪化させる大きな原因として、喫煙が挙げられます。喫煙は傷口の治りを悪化させるだけでなく、インプラント定着率にも影響してしまいます。
タバコを吸っている方はそうでない方に比べてインプラントが抜けてしまうリスクが高いので、できる限り禁煙するか、難しい場合は節煙を心がけましょう。
日々のケアで万が一のトラブルに備える
インプラントに痛みなどのトラブルが発生した場合、まずは歯科医院で相談してみるのがおすすめです。何らかの治療が必要になった場合でも、早期に対処することで最低限の治療で済みます。
数年後に痛みが発生するのを予防するためには、日々のケアを丁寧に行うことが欠かせません。歯ブラシだけでなく、デンタルフロスなども活用しながら念入りなケアを行っていきましょう。