インプラント治療のSAC分類とは?

インプラントは自分の歯と同じように噛むことができる人口の歯であり、審美性や機能性に優れているのですが、治療のリスクが全くないわけではありません。

リスクをよく理解したうえでインプラントの治療について検討したい方のために、客観的症例評価システムとして用いられている「SAC分類」について解説します。

手術時や手術後にはどのようなリスクが考えられるのかも参考にしてみてください。

インプラント治療におけるSAC分類とは

インプラントの治療では、難易度とリスクをもとにインプラント症例を3つのカテゴリーに分類する「SAC分類」という客観的症例評価システムが用いられています。

これは、ITI(International Implant Team for Implantology)という口腔インプラント学のための国際チームが内容をまとめて発表しました。SAC分類で分類される3つのカテゴリーは、以下の通りです。

  • S(Straightforward)…難易度とリスクがともに低い
  • A(Advanced)…難易度とリスクがともに中等度
  • C(Complex)…難易度とリスクがともに高い

更に外科的、補綴的SAC分類に分かれます。

「S」は、インプラント治療をするにあたり大きな問題がなく、歯周病の治療やインプラント治療に専念することができる症例です。

「A」は、補綴治療や部分矯正などを組み合わせるなどして、最適な治療について工夫しなければなりません。

「C」は難易度が高く、咬合再構成などの治療も行う必要があります。

インプラント治療にともなうリスク【手術時】

インプラントの手術時に考えられるリスクについて解説します。

神経や血管の損傷リスク

インプラントの手術前には様々な検査を行い、十分状態を把握してから行うのですが、手術中に血管や神経などを傷付けてしまうリスクはゼロではありません。

インプラント治療で最も大きいリスクとされており、神経を傷付けた場合には神経麻痺が発生する可能性があります。

歯科CTで撮影を行い、安全な位置にインプラントを埋入することにより防げるリスクです。

細菌感染のリスク

手術時に細菌感染が起こってしまうと、腫れや痛みが発生します。安全にインプラント治療を受けるためには治療環境が十分に衛生管理されていることが重要です。

実際に、手術で使う器具が不衛生だったために細菌感染が起こってしまったようなケースもあります。歯科医院でどのような取り組みを行っているのか、事前に確認しておくと良いでしょう。

また、虫歯や歯周病の治療、丁寧なブラッシングなどで口内環境も整えておかなければなりません。

骨の高さや厚みの不足による手術の中断リスク

インプラント治療ではあごの骨にインプラントを埋め込まなければならないため、十分な量のあごの骨が必要です。

通常、骨の高さや厚みが不足している場合、事前に骨を増やすための治療を行うのですが、手術前の検査が不十分でいざ、手術を始めてから骨が足りないことが発覚したようなケースでは手術の中断も考えられます。

レントゲン撮影だけでは骨の状態を十分に確認することができないため、CT検査も行っている歯科医院を選択しましょう。

インプラント治療にともなうリスク【手術後】

インプラント治療の手術後に考えられるリスクとして、理解しておきたいことを解説します。

顎骨とインプラントが上手く結合しない

インプラントの素材はチタンで作られており、あごの骨に埋め込んだ後に骨と結合してしっかりと人工歯を支えてくれます。しかし、この結合がうまくいかず、失敗してしまうリスクがあるのです。

骨粗鬆症や喫煙、過度の飲酒などもインプラントがうまく結合しない原因になってしまうため、どのような場合にリスクが高いのかよく確認しておくことをおすすめします。

また、手術時のミスが原因で顎骨とインプラントがうまく結合しないこともあるので、技術力の高い歯科医院を選択しましょう。

腫れ・痛み・しびれなどの症状が出る

インプラント治療では外科手術を行うため、腫れや痛みが出ることもあります。ほとんどは一時的なものであるため鎮痛剤を飲めば対処できるのですが、まれに腫れや痛み、しびれなどの症状が長く続いてしまうことがあります。

もし、長期間痛みや腫れなどが続いてしまった場合、何らかのトラブルが起こっている可能性もゼロではありません。

原因不明の腫れや痛み、しびれなどがあり、なかなか状態が改善しない場合は一度医師に相談してみた方が安心です。炎症が起きているような場合は薬を処方してもらえます。

どの程度トラブルが続いた場合に相談するかについては症状によっても異なりますが、二週間経ってもおさまらないような場合は相談したほうが良いです。

インプラント周囲炎が発症する

インプラント治療後に発生するトラブルとして、特に注意しなければならないのがインプラント周囲炎です。これは、周辺組織が炎症を引き起こすことによって発生するトラブルで、症状が悪化した場合はインプラントが抜け落ちてしまう可能性があります。

そのため、できるだけ初期の段階で対処が必要です。しかし、初期症状がほとんどないため、状態が悪化してから病院を受診してしまう方もいます。インプラント周囲炎と思われるような症状が発生した場合、できるだけ早く歯科医院で相談しましょう。

インプラント周囲炎の詳細については『インプラント周囲炎とは?原因と対策について』でご紹介しています。セルフチェックの方法についても解説しているので、参考にしてください。

審美性に問題が生じる

インプラントは機能性が優れていることに加え、審美性が高い治療として人気があります。自分の歯と同じような見た目を実現できるので、インプラントだと人に気づかれるようなこともありません。

しかし、これは適切なインプラント治療を受けられた場合の話です。インプラント治療に失敗し、曲がって見えたり、適切な見た目にならなかったりすることがあります。

これは、担当した医師の技術不足や、事前に行う検査、シミュレーションなどが不足していたことが大きな原因です。

審美性に問題が起こってしまった場合、治療をやり直すしかありません。再度外科手術が必要になると身体への負担も考えなければならないので、医師・病院選びは慎重に行いましょう。

信頼度の高いクリニックを選択することが重要


インプラント治療で用いられているSAC分類や、治療を受ける前におさえておきたいリスクについてご紹介しました。できる限りインプラント治療に関する失敗やリスクを抑えるためには、クリニックをしっかり比較し、信頼できるところを選択することが重要です。

もし、医師から勧められた治療法が本当に自分に最適なのかわからない、説明などが理解できず不安を感じているなどあれば、セカンドオピニオンを受けてみることをおすすめします。

なぜセカンドオピニオンやサードオピニオンが必要なのか、何を確認すれば良いのかなどについては『インプラント治療のセカンド・サードオピニオンの必要性について』でご紹介しているので、参考にしてみてください。