インプラントと天然歯の違いやメリット・デメリットを解説

インプラント治療の平均的な期間や延びる要因を解説

自分の歯である天然歯を失ってしまった場合、選択肢に挙がるのがインプラント治療です。インプラント治療では人口の歯を入れることになりますが、やはり天然歯とはいくつか違うポイントがあります。

そこで、インプラントと天然歯の違いや、それぞれのメリット、デメリットについてご紹介しましょう。インプラント治療について検討している方はぜひ参考にしてみてください。

インプラントとは何か?

インプラントとは、事故や病気などで失われてしまった歯を補う治療であり、差し歯やブリッジ、入れ歯などに比べてしっかり噛むことができるのが魅力です。インプラントの治療は、外科手術となります。

歯茎にフィクスチャーと呼ばれる土台部分を埋め込み、歯部分である上部構造とフィクスチャーをアバットメントという部品でつなげます。

インプラントの土台はチタンで作られているのですが、このチタンは骨と結合する特徴を持っており、しっかりと土台になって支えてくれるのです。

歯の根っこ部分である歯根部分が残っている場合は差し歯を選択することができますが、歯根がない場合は差し歯を検討できないため、インプラントなどの方法が向いています。

天然歯とは?

天然歯とは?天然歯とは、自分の歯のことです。インプラントとの大きな違いとして挙げられるのが、構造の違いです。

まず、天然歯には歯根膜というものが存在しています。これは歯根と骨をつなぐ役割を果たしている線維性結合組織のことであり、歯周靭帯とも呼ばれるものです。

物を噛んだ時にクッションのような役割をするだけでなく、どれくらいの力で噛んでいるのかを伝える知覚神経が存在しています。

歯根膜があるからこそ必要以上の力で物を噛むことがなく、その分、歯への負担を抑えることができているのです。インプラントには歯根膜がないため、歯ぎしりなどの負担に弱い特徴を持っています。

それから、歯根膜には血管が通っていて、天然歯は歯根膜、歯槽骨、歯肉の3つから血流供給を受けているのに対し、インプラントは歯槽骨と歯肉の2つから血流供給を受けているのが違いです。

血液の中には細菌と戦う白血球が存在しているため、血流供給が多い天然歯の方が細菌による炎症に強いといえるでしょう。

インプラントと天然歯の違い

インプラントと天然歯の違い
インプラントと天然歯は、構造上にいくつか違いがあります。主な違いは、以下の3つです。

  • 歯根膜
  • 歯肉線維
  • 血液供給量

それぞれおさえておきたいポイントについてご紹介しましょう。

歯根膜

前述した歯根膜はインプラントにはなく、天然歯ならではのものです。歯根膜は非常に薄く、厚さわずか0.15~0.38ミリ程度しかありません。ですが、歯根膜が担っている役割は非常に多く、歯根膜があるからこそ歯は抜けることなくしっかりと固定されているのです。

もともと存在していた歯根膜は、天然歯が抜け落ちる際に失われてしまいます。インプラントは骨に対して直接埋入するものであることから、歯根膜のようにクッションになるものがありません。

歯肉線維

天然歯の場合、歯と歯肉は、歯肉線維によって結びついています。ただ歯の周辺に繊維がまとわりついているのではなく、歯の根の部分に歯肉の中にある結合組織が入り込んでしっかりと付着しているのが特徴です。

ですが、インプラントの場合、歯肉繊維は歯の根の部分に入り込むことなく、インプラントに対して平行に走っています。

そのため、炎症などが発生した際にはインプラントから歯肉が剥がれてしまうことがあるのです。

炎症さえ発生しなければあごの骨に埋入されているインプラントは非常に頑丈で、しっかりと物を噛めます。しかし、炎症が発生した場合は早期に対応しなければなりません。

血液供給量

血液供給に関する違いもあります。こちらも前述したように、天然歯は3つから、インプラントは2つから血液の供給を受けています。

血液供給元が天然歯と比べて少ないインプラントは細菌感染に弱いため、インプラント治療をした後は定期的なメンテナンスを欠かすことなく受けなければなりません。

例えば、インプラント周囲炎などの細菌感染が原因で発生するトラブルやリスクも少なくないのです。更に炎症などが発生してしまった場合、それに対する防御力が低く、一気に状態が悪化してしまう可能性もあります。

通常の天然歯よりも感染しやすいリスクについて十分に理解しておきましょう。インプラントは天然歯と異なり、感染が発生したとしても大きく腫れるようなことがなく、自覚症状が現れにくいです。

だからこそ、炎症などのトラブルに気付くのが遅れてしまったという方も多いので注意しましょう。

天然歯であることのメリット・デメリット

天然歯であることのメリット・デメリット
歳をとっても健康でいるためには自分の歯を多く残すことが大切とされているので、天然歯を残すメリットは大きいです。デメリットについても解説しましょう。

メリット

前述したように、血流供給元が多いため、細菌への抵抗力が強いです。また、口の中の状態は成長に伴い少しずつ変化していきますが、天然歯はとても自然であり、違和感を覚えにくいのがメリットだといえます。

インプラントの場合は治療にお金がかかりますが、自分の歯を健康的に保つことができれば最低限のメンテナンス費用で済ませることができるので、費用面でのメリットも大きいといえるでしょう。

デメリット

きちんとしたブラッシングができていないと虫歯になってしまうことがあります。人によっては歯並びが悪く、磨き残しが発生しやすいのもデメリットといえるでしょう。

また、ステインのように着色汚れに繋がるものを頻繁に飲んだり食べたりする方は歯が黄色くなってしまうのもデメリットです。

インプラントにするメリット・デメリット

インプラントにするメリット・デメリット
インプラントは、機能性でも審美性でも天然歯と非常に似ています。どのようなメリット、デメリットがあるのかについてみていきましょう。

メリット

噛む力は天然歯とほとんど変わらないとされています。そのため、物を噛む力を十分に発揮できるのが大きなメリットだといえるでしょう。とても丈夫で長持ちするので、差し歯やブリッジなどに比べて快適に使うことができます。

審美性にも優れていることから歯を失った部分でもインプラントを入れれば、天然歯があるのと同じような見た目になるので、差し歯のように目立ちやすいものは避けたいという方にもおすすめです。

インプラントが着色したり、変色したりすることはほぼないので、毎日コーヒーや紅茶、緑茶などを飲んでいて歯の変色が気になる方にとってもメリットが大きいといえるでしょう。

天然歯と似ているものの、インプラントならではの魅力も多々あります。

その他、インプラントのメリットについて詳しく知りたい方は『インプラント治療のメリットについて紹介』のページをご覧ください。おさえておきたいメリットについて詳しくご紹介しています。

デメリット

失った歯をカバーする選択肢の中では、とても魅力が大きい方法とされているのですが、治療は外科手術となります。そのため、全身疾患がある方の中にはインプラント治療を選択できない方もいるのです。

また、基本的に自由診療となり保険が適用されないため、治療費が高額になります。1本あたりの費用は32~40万円ほどとされているので、費用を捻出することができずインプラントを選択することができない方も多いです。

それから、治療には長い期間がかかります。2回手術を行う2回法の場合は手術でインプラント体を埋め込んで数ヶ月待って2度目の手術をすることになり、3~6ヶ月程度かかることが多いです。

手術完了後も定期的にメンテナンスのために歯科医院に通わなければなりません。

基本的に、インプラント治療におけるデメリットはそれほど大きくないとされています。ですが、どういったデメリットがあるのか理解しておくことは安心にもつながるでしょう。

インプラント治療のデメリットについては『インプラント治療のデメリットについて紹介』で詳しく解説しています。

インプラントの魅力は大きい

インプラントの魅力は大きい
インプラントと天然歯にはどのような違いがあるのかについてご紹介しました。歯を失ってしまった部分に天然歯と同じような働きをするものを入れたいと考えているのであれば、インプラントがおすすめです。

天然歯を健康な状態で残せれば最も良いのですが、普段のブラッシングが十分にできていなかったり、事故などで天然歯を失ってしまったりした場合にはインプラントについて検討してみてはいかがでしょうか。