高齢者でもインプラント治療は可能?条件やメリットを解説

高齢者の方がインプラント治療を受ける場合、まずは自分が治療するための条件を満たしているのか、どのようなリスクが考えられるのかを理解しておくことが大切です。

また、インプラントにすることによって快適な食生活を送ることができますが、適している生活スタイルがあるので、ご紹介しましょう。

高齢者でもインプラント治療を受けることは可能?

高齢者の方でもインプラント治療を受けることは可能です。インプラント治療の一般的な対象年齢は20~70歳までとなっています。

実際に高齢の方でインプラントを装着している方は多く、厚生労働省からの報告によると治療者数ではありませんがインプラント装着者は40代から増加し、65~69歳の方で4.6%、70~74歳の方で3.7%、75~79歳の方で3.4%と60~70歳代でピークとなるとのこと。

出典:厚生労働省:(PDF)平成28年歯科疾患実態調査結果の概要

70歳までとしているのは、70歳以上の方は土台を固定するための顎の骨が足りない、体力的にインプラント治療に耐えられないなどのリスクが考えられるためです。

ただ、年齢に上限はないので、70歳ころまでが目安ではあるものの後述する条件を満たしている方であれば検討できます。

インプラントの年齢制限についてさらに詳しく知りたい方は、インプラント治療の年齢制限は?20歳未満・70歳以上は医師に確認を』で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。

また、インプラント治療後は定期的なメンテナンスを受けることになるため、年齢の条件に該当する方だったとしても、通院が難しい場合はその他の治療法を検討することになるでしょう。

術後にメンテナンスを受けるための通院ができるというのも欠かせない条件の一つです。

インプラント治療を受けるうえでの条件とは?

高齢者の方がインプラント治療を受けようと考えた際、まずは条件を満たしているか確認してみてください。最低条件として以下の5つをすべて満たしている必要があります。

治療が困難な持病を抱えていない

持病を抱えている方の中には体の状態が安定していなかったり、治療のために飲んでいる薬とインプラント治療の相性が悪かったりすることがあります。

そのため、全身疾患や生活習慣病を抱えている方は治療できないことがあるのです。持病がある場合、60代でも治療が難しいケースがありますが、病気の状態によっても変わるのでカウンセリングで判断してもらいましょう。

口腔状態が良好である

歯磨きがうまくできておらず、歯周病や虫歯があるなど口の中の状態が悪化している場合は治療ができません。先に状態を改善させるための治療をすることになります。

抗凝固薬などを服用していない

血液を固まりにくくする抗凝固薬を服薬している方は、治療時の出血が止まりにくくなるためインプラント治療は難しいです他にも骨粗鬆症の治療で骨を強くするビスホスホネート製剤を飲んでいる場合も、治療で細菌感染した場合に骨が溶けてしまう可能性があるため、治療できません。

手術に耐えうる体力を持ち合わせている

インプラント治療は外科治療なので、体力が必要です。また、治療後すぐの時期は満足に食事をとることができないことから免疫力が落ちやすくなります。免疫力の問題を抱えている方もインプラント治療は向いていません。

術後の定期的なメンテナンスに通える

定期的に通院が必要になるので、送り迎えしてくれる家族がいない、自力で通うことができないといった場合は選択できません。

高齢者のインプラント治療にともなうリスク

若い方に比べると体力や免疫力のない高齢者は以下のようなリスクがあります。

細菌感染の発症リスクが高い

免疫力が低いと細菌感染のリスクが高いです。年齢が高いほどリスクも高くなります。

インプラントと骨が結合しにくい

治療後はインプラントと骨がしっかり結合する必要があるのですが、高齢で免疫力が下がっていると傷口の治りが遅く、しっかり結合しないことがあります。インプラントがうまく安定せず、再手術を求められる可能性も少なくありません。

手術の中断を余儀なくされるケースもある

インプラント治療に踏み切ったものの、やはり体力に不安があり途中で中断を余儀なくされるケースがあります。事前に正しい判断をしてくれる歯科医院で相談しましょう。

高齢者がインプラント治療を受けるメリット

高齢者の方がインプラント治療を受けることにはリスクがありますが、同時にメリットもあります。そこでここからは、高齢者の方がインプラント治療を受けるメリットについて見ていきましょう。

若い時代のように食事を楽しめる

不自由な歯の多い高齢者の方でも、インプラントを装着すれば若いころと同じように食事を楽しめるようになります。

インプラントは顎の骨に挿入する義歯であり、入れ歯のように食べ物の味や温度が感じられにくかったり、隙間に食べ物が挟まって痛みを感じたりする可能性が低下。

また安定感があるため硬い食べ物でもしっかりと噛めるようになります。

認知症のリスクを減らせる

インプラント治療により、認知症のリスクを減らせる可能性があるとの報告がなされています。食べ物を噛むことは脳への刺激となり、認知症の発症リスクを低下させるとされているためです。

また噛みにくい生野菜を避けることがなくなり、栄養状態が改善されることも理由のひとつだと考えられています。

高齢になると認知症発症のリスクが高まりますが、インプラントを装着することによりそのリスクを減らせることは大きなメリットとなります。

参照:山本龍生「(PDF)歯科から考える認知症予防への貢献」日本口腔インプラント学会第30巻第4号

会話を楽しめる

会話を楽しみやすくなるのも、高齢の方がインプラント治療を受けることのメリットです。入れ歯だと隙間により発音がしにくくなりますが、インプラントは天然歯に近い義歯であることから、発音のしづらさを感じることもなく会話を楽しめます。

また、見た目の美しさも他の義歯より勝るため、周囲の人の目を気にすることなく笑えるようになることも理由のひとつ。

会話は日常生活に欠かせないものですから、高齢者の方がインプラント治療を受けることは、生活の質を高めることにつながるでしょう。

顔の印象を若く保てる

インプラントは天然歯と同じように顎に固定される義歯であることから、顔の印象を若く保ちやすくなる可能性があります。天然歯が失われると口元にシワが目立ってくることがありますが、天然歯と近いインプラントであれば歯が失われても顔の印象をそのまま維持できるケースもあると考えられます。

健康な歯を守れる

高齢の方がインプラント治療を受けると、健康な歯をそのまま維持しやすくなることもメリットのひとつ。ブリッジや部分入れ歯は他の歯にフックをかけて装着することから、健康な歯への負担が大きくなりがちです。

しかし顎の骨に部品を挿入するインプラントでは、他の歯に悪影響を及ぼすことがありません。ご高齢でご自身の天然歯を守りたいと考える方には、インプラント治療が適しています。

歯を失った場合のインプラント治療の以外の選択肢

高齢者の方がインプラント治療を受けるメリットは多いですが、歯を失った場合の治療法はインプラントだけではありません。その他の選択肢についても見ていきましょう。

入れ歯

インプラント以外の選択肢としてまず考えられるのが「入れ歯」です。装着のための手術は不要で、保険適用となることから安価に義歯を製作できることがメリットとなりますが、咀嚼機能の低下や他の歯への負担が増えること、バネが見えてしまうなど見た目の問題があります。

また装着している際の異物感が気になるという方もいらっしゃいます。

ブリッジ

次にご紹介するのが「ブリッジ」という選択肢です。ブリッジは天然歯と同じように噛むことができ、手術も不要、保険適用であり安価に治療を受けられることにメリットを感じられるでしょう。しかし隣接する歯を削ったり、フックをかけることによる負担が増大したりするため、健康な歯が失われやすくなるかもしれません。

インプラント治療で楽しい老後の生活を

年齢を重ねるとさまざまな理由で歯を失ってしまう方が増えますが、それをどのような方法で補うかが重要な問題です。入れ歯やブリッジが合わないと食事量が減り、体力の低下につながりかねません。

しかし、インプラントなら咀嚼機能や発音への影響も少なく、ご自身の健康な歯を残しやすいことにもメリットが感じられるでしょう。

高齢者の方がインプラント治療を受けることにはリスクがありますが、同時に数々のメリットもあります。生活の質を高め、より楽しい老後を送るためインプラント治療を検討されてみてはいかがでしょうか。