インプラントといっても、実は様々な種類があります。シリンダータイプはインプラントの形状の1種で、らせん状の切り込みが入っておらず滑らかな円筒形をしています。
ここでは、シリンダータイプのインプラントについて詳しく解説するほか、シリンダータイプ以外のインプラントの形状や構造、素材、表面の処理の違いについて紹介します。
インプラント治療を検討中の方は、インプラントを選ぶ際の参考にしてみてください。インプラントの種類の違いについて理解することは、最適な治療の選択にもつながるはずです。
シリンダータイプのインプラントとは?
インプラントのシリンダータイプは、らせん状の切り込みが入っていない滑らかな円筒形で、上部と下部が同じ形状をしています。
ハンマーのような器具で打ちながら顎の骨に埋め込むことが特徴で、骨に埋入するのが比較的容易なため、手術の際の負担が抑えられます。また、シリンダーは、手術を2回行う2回法に適しているタイプです。
しかし、ネジ状のスクリュータイプと比較すると表面積が小さいため、顎の骨との結合が弱くなりやすいというデメリットがあります。
現在も一部の症例のみに採用されています。
インプラントの他の形状
インプラントのシリンダータイプ以外の形状には、スクリュータイプとバスケットタイプがあります。それぞれの特徴を紹介します。
スクリュータイプ
スクリュータイプはネジのような形のインプラントで、回転させながら顎の骨に埋め込みます。ネジ状になっているため骨と接する面積が大きく、埋め込んだ時に固定しやすいのが特徴です。
また、骨に埋め込む穴が小さくて済むので体への負担を軽減できるほか、噛む力を効率的に歯に伝えられます。
スクリュータイプは歯科用インプラントの主流で、特別な理由がなければスクリュータイプが選択されます。
バスケットタイプ
バスケットタイプは、スクリュータイプと同じく、ネジのようならせん状ですが、中や側面に穴が空いています。
空洞があることでインプラントの中まで骨が入り込めるのが特徴ですが、その分、強度が弱く、破損するトラブルも起こっています。
高度な技術が必要なため、現在はほとんど使用されていないインプラント体です。
インプラントの形状についてさらに知りたい方は『インプラント治療の種類とそれぞれの特徴を解説』で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
形状以外のインプラントの違い
インプラントは形状だけではなく、構造や素材、表面の処理の仕方にも違いがあります。
構造
インプラントの構造は主に2つのタイプがあります。
- ワンピースタイプ
- ツーピースタイプ
ワンピースタイプは、人工歯根であるインプラント体とアバットメントが一体化している構造です。手術が1回で済むため、身体への負担を最小限に抑えられます。
ツーピースタイプに比べ費用を安く抑えられるというメリットがある一方、顎の骨が良い状態でないと使用できないというデメリットもあります。また、アバットメントが故障したときは、インプラント体ごと撤去する必要があります。
ツーピースタイプは、インプラント体とアバットメントが分かれているインプラントです。
2回の手術が必要ですが、幅広い症例に適用できることや、アバットメントが壊れてもインプラント体は残せることなどメリットも多くあります。現在はツーピースタイプがインプラントの構造の主流です。
素材
インプラントの素材には主に2つが用いられます。
- 純チタン・チタン合金
- チタン・ニッケル合金
インプラントの治療で多く用いられるのが、純チタン・チタン合金です。強度があり長持ちしやすく、骨と結合しやすいのが特徴です。
一方、チタン・ニッケル合金は、形状を任意に成形しやすく、形を保ちやすいという特徴がありますが、骨への結合性に関しては、純チタン・チタン合金に劣るとされています。
インプラントの素材についてさらに知りたい方は『インプラントを構成する3層の構造を解説!それぞれの素材は?』で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
表面処理
インプラントの表面処理では主に3つが使用されています。
- ブラスト処理
- 酸化処理
- 機械研磨処理
まず、ブラスト処理は、人工歯根の酸化膜を除去し、表面を細かく粗くします。酸化膜を消失させることで骨との結合力を上げる処理で、最も多く行われている表面処理の方法です。
酸化処理は、硫酸や塩酸を使用し、人工歯根の表面に粗い凹凸を作る処理です。ブラスト処理と同じように、表面に凹凸を作ることチタンと骨の結合を向上させます。
機械研磨処理は、専用機械を使って人工歯根の表面を滑らかにする処理です。人工歯根に不要な凹凸があると骨に悪影響を及ぼす可能性があるため、事前に研磨して滑らかにします。
インプラントは形状・構造・素材・表面の処理で違いがある
シリンダータイプのインプラントについて解説してきました。シリンダータイプは、インプラントの形状の1つで、ネジがついていない円筒形をしています。
骨に埋入するのが容易なことが特徴ですが、スクリュータイプと比較して表面積が小さいため、初期の固定が弱くなるというデメリットがあり、現在、一部の歯科医院のみで採用されています。
インプラントの形状は、シリンダータイプのほかに、主流のスクリュータイプ、ほとんど使用されていないバスケットタイプがあります。
インプラントは形状だけではなく、構造や素材、表面処理の仕方にも違いがあります。それぞれの特徴を知った上で、インプラントの種類を選びましょう。