インプラントの撤去が必要なケースと撤去方法について解説

インプラントの撤去が必要なケースと撤去方法について解説

インプラントは非常に快適な人工歯ですが、何かトラブルが起こってしまった場合には埋め込んだインプラントを撤去しなければならない場合があります。

インプラントそのものや周辺組織に異常が発生し、そのままでは状態が改善しないようなケースで撤去が必要です。

具体的にどのような時に撤去しなければならないのか、気になる費用はいくらかかるのかなどについてご紹介しましょう。

インプラントの撤去が必要なケースとは

インプラントの撤去が必要なケースとはインプラントの寿命は非常に長く、適切なメンテナンスをすれば長持ちさせることができるのですが、以下のような理由で撤去を検討しなければならないケースがあります。

インプラントが周囲組織を損傷した場合

治療を行う前に十分な診査を行い安全に考慮して手術をしますが、埋め込んだインプラントが周辺の神経や上顎洞粘膜、周りの歯などを損傷してしまった場合に炎症が発生してしまうことがあります。

状態がひどい場合にはインプラントを撤去しなければならないことがあります。

これは手術直後に生じるトラブルなので、治療後に問題を感じる場合はすぐに治療を受けた歯科医院で相談してみてください。特に下あごの治療を行う場合に神経損傷のリスクについて考えなければなりません。

万が一、手術で骨にインプラントを埋め込むための穴を開ける際に神経と血管が走っている場所を傷付けたり、インプラントを深く埋めすぎたりした場合に神経を損傷してしまうことがあるのです。

神経損傷が疑われる症状が現れた場合には、早期に治療を開始することによって治りを早めることができるので、気になることがあれば歯科医院で相談しましょう。

インプラントに炎症が起こった場合

インプラントに炎症が発生すると、痛みや腫れなどを引き起こすことがあります。状態がひどい場合にはインプラントの撤去を検討しなければなりません。

外科治療後行うため、多少の痛みや腫れが発生するのは仕方がないことではありますが、痛みや腫れが治まらない場合には炎症が発生している可能性が考えられます。

炎症が発生する原因はいくつかありますが、一つは感染症です。特にメンテナンスを怠ったような場合には口内で炎症を引き起こす病原菌が増えてしまい、粘膜が炎症を起こしてしまうことがあります。

インプラントに炎症が起こったからといって、必ずしもインプラントの撤去が必要になるわけではありません。

撤去すべきかどうかは医師の判断や状態によって変わるのですが、炎症を放置するとインプラント周囲炎に繋がってしまう恐れがあるので、炎症に気づいたら早期に歯科医院で相談しましょう。

インプラント周囲炎が重症な場合

インプラント周囲炎とはインプラントの合併症の一つであり、インプラントの周囲の歯茎が細菌感染を起こすことにより、インプラントを支えている組織に炎症が起こってしまうトラブルです。

土台が不安定な状態になるので、症状が進行している場合にはインプラントを支えきれなくなり、撤去について検討しなければなりません。

歯周病のような状態になるのですが、進行が早いわりに自覚症状がないため、自分で気になる症状が現れた際にはすでに症状が進んでいるケースが多いです。

インプラント周囲炎について更に詳しく知りたい方は『インプラント周囲炎とは?原因と対策について』で詳しくご紹介しています。こちらのページもぜひ参考にしてみてください。

インプラントが破損した場合

インプラントは非常に丈夫なものです。しかし、何らかの理由によって、折れたり、欠けたりすることがあります。

インプラントは土台であるフィクスチャー、人工歯の部分である上部構造、フィクスチャーと上部構造つなぐアバットメントの3つによって成り立っているのですが、上部構造だけが欠けたり折れたりした場合はこの部分のみ交換することも可能です。

しかし、フィクスチャー部分に問題があり、アバットメントや上部構造を接続できないような状態になると撤去が必要なことがあります。

金属アレルギーが発症した場合

インプラントを埋入したことによって金属アレルギーを発症したような場合には、インプラントを撤去しなければなりません。インプラントに使われている金属はチタンであり、アレルギーを起こしにくい素材として知られています。

ですが、すべての方にアレルギー反応が起こらないと言い切ることはできないため、ごくまれに金属アレルギーを発症してしまう方がいます。

原因となっている金属を取り除かなければ状態改善が見込めないため、インプラント撤去を検討することになるでしょう。

また、金属アレルギーを発症してしまった場合、再度インプラントを埋入するのも難しくなるため、その他の治療方法について考えなければなりません。

嚙み合わせが悪い場合

噛み合わせの状態が悪く、インプラントを埋入した部分に負担がかかってしまうような場合は、調整が必要です。咬合調整を行い、少しずつ噛み合わせを整えることになります。

調整して状態が良くなれば良いのですが、インプラントを撤去しなければ状態の改善が期待できないような場合は、インプラントの撤去が必要です。

こういったトラブルを避けるためには、噛み合わせについて熟知している医師に治療を相談することをおすすめします。

事前に正確なシミュレーションを行い、噛み合わせのことまで検討したうえで治療を開始できれば、噛み合わせのトラブルが原因でインプラントを撤去しなければならなくなるリスクを減らせるでしょう。

歯科医院の実績なども確認しながらどこで治療を受けるのか検討が必要です。

インプラントを撤去する方法

インプラントを撤去する方法

インプラントの撤去は、局所麻酔をして行うので、痛みはありません。

まだ骨が残っている場合はインプラント周囲の歯茎を切開し、インプラント周囲の骨を薄く削ることにより隙間を作って摘出しますが、骨吸収が起きている場合は骨を削らなくても摘出できる場合があります。

どのような方法でインプラントを撤去するかは状況によって異なるので、診査を受けてみなければ詳細はわかりません。気になることがあれば診査時によく確認しておきましょう。

インプラントを撤去するための費用について

インプラントを撤去するための費用についてインプラント撤去にかかる費用は、保険診療の対象になるかどうかによって大きく変わります。保険適用になる場合の費用は全国一律であり、以下のように定められています。

  • 人工歯根タイプ…460点
  • ブレードタイプ…1,250点
  • 骨膜下インプラント…1,700点

1点は10円で、例えば3割負担の方の場合、医療費の金額に3割をかけた額が自己負担額となります。

また、摘出をする際に骨を削らなければならなかった場合は「骨開削加算」と呼ばれるものがプラスされるので、こちらも確認しておいてください。骨開削加算は各摘出術の点数の50%です。

一例として、医療費3割負担の方が人工歯根タイプのインプラントを撤去し、その際に骨を削った場合の費用を解説しましょう。

1点10円なので人工歯根タイプの撤去費用である460点は4,600円です。骨開削加算は50%なので、460点の50%である230点(2,300円)が加算され、6,900円となります。この場合、自己負担3割の場合の自己負担額は2,070円です。

保険適用のためにはインプラント治療を受けたのとは異なる歯科医院や病院で摘出すること、摘出前にレントゲン写真撮影を行うことなどが定められています。

治療を受けたのと同じ歯科医院や病院で撤去する場合は自費診療で保険が適応されないので、費用については直接確認してみてください。

トラブルを感じたら早めに歯科医院で相談

トラブルを感じたら早めに歯科医院で相談

ほとんどのケースではインプラントを撤去しなければならなくなるようなトラブルは起こりません。しかし、何か違和感がある場合などは早めに歯科医院で相談し、対処してもらいましょう。

インプラントの撤去を依頼することになった場合、安さだけで歯科医院を選ぶのはおすすめできません。

埋入の治療と同じく、慎重に対応が必要であるため、実績や口コミ評判なども調べながら歯科医院選びをしましょう。わかりやすく治療を説明してくれる歯科医院を選ぶと安心です。

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