インプラント治療は、治療が完了するまでに長い期間がかかるものです。しかし、治療途中で中断してしまった場合、大きなリスクを伴います。
これからインプラント治療をしようとしている方や、治療を中断してしまっている方のため、どのようなリスクがあるのかについてご紹介しましょう。
また、中断してしまった場合、どのように対応すれば良いのかについても解説します。
仮歯の状態でインプラント治療を中断するのは避ける
医師の判断で経過観察をしているなどの場合を除き、自己判断でインプラント治療を中断するのはおすすめできません。
治療途中ということは、まだ処置しなければならない段階なので、放置すると様々なリスクや悪影響が考えられるからです。
まずは治療を開始する前に、インプラント治療には時間がかかると理解しておきましょう。ワンデイインプラントなど最短2ヶ月ほどで済む治療もありますが、骨を増やす治療が必要だった場合などは最長1年ほどかかることもあります。
全体の流れについて確認しておきましょう。2回外科手術を行う2回法の場合、以下のような流れになります。
- 検査
- 必要な場合は骨移植や虫歯治療
- 1回目の手術
- 数ヶ月インプラントの定着を待ち2回目の手術
- 切開した歯肉が治るのを待って仮歯の装着
- 仮歯に慣れてから型をとり、上部構造の作成
- 上部構造の装着
上記の5の段階では仮歯が入り、見た目的にはほとんど気にならなくなります。そのため、この段階で治療を中断してしまう方が多いようです。
しかし、仮歯はあくまで上部構造が仕上がるまでの一時的な期間に使用するものです。6か月以上仮歯のまま過ごしているようなケースでは、すぐにでも治療を再開したほうが良いでしょう。
インプラント治療を途中で中断するリスク
インプラント治療を途中で中断した場合、多くのリスクがあります。代表的なリスクについてご紹介します。
仮歯が外れる
仮歯はそれほど強力に接着されているものではありません。そのため、仮歯が外れてしまうことがあります。
人前で外れてしまうと恥ずかしい思いをする可能性もあるため、注意が必要です。
仮歯が壊れる
仮歯はあくまで一時的に使用するものなので、耐久性に優れていません。そのため、長く仮歯のまま過ごすと壊れてしまうことがあります。
仮歯が変色する
最終的に人工歯として入れる上部構造の素材に比べると、仮歯は変色しやすい素材が使われています。
普段食べるもの、飲むものによっても変色のしやすさが変わりますが、長期間仮歯のまま過ごすと変色して目立ってしまう事も多いです。
痛みが生じる
仮歯段階まで治療が進まず、初期の段階で応急処置だけをして中断した場合、痛みが出やすいです。
この状況で放置した場合はさらに強い痛みが生じることもあります。
細菌が感染する
適切な治療を受けなかった場合、傷口から細菌が入り込み、炎症などにつながる恐れがあります。
仮歯が取れてしまった場合も同様です。
仮歯は、治療した場所に細菌が入り込まないようにふたをする役割も持っています。取れた部分からの細菌侵入を防ぐためにも、仮歯が取れたらすぐに治療を受けましょう。
治療を再開しても人工歯が合わない恐れがある
長く治療を中断した場合、その間に歯が移動してしまうことがあります。人工歯が合わないなどのトラブルが発生した場合、治療の調整や、やり直しが必要になってしまうことも考えられます。
中断したことでかかりつけの医院に行き辛いと感じたら
中断してしまったインプラント治療を再開させたいけれど、気まずくてかかりつけ医に行きづらいと感じている方もいるでしょう。
その場合は、他のクリニックで相談してみるのがおすすめです。治療途中に不安や不満があり治療を中断してしまったようなケースでも同様です。
他のクリニックに相談に行く際には、最初のクリニックで受け取った診断書や、治療関連書類などを持って行きましょう。
改めて治療計画を立て直し、インプラント治療を継続する形となります。
注意しなければならないこととして、インプラントメーカーには様々な種類があり、クリニックによって対応しているメーカーが異なります。
大手のメーカーであれば多くのクリニックで対応していますが、珍しいメーカーを選んだ場合は対応できるクリニックが限られてしまう可能性もあるのです。インプラントのメーカー選びをする際にはこのあたりも注意してください。
インプラント治療は中断せず継続するのが理想
インプラント治療を中断してしまった場合、思わぬトラブルにつながる可能性があります。
治療完了までには長い期間がかかるので継続して通うのは大変ですが、できる限り治療完了まで通い続けましょう。
仮歯のままで過ごしても特に大きな問題はないように感じてしまう方もいますが、仮歯は長く装着する前提で作られていません。
あくまで一時的なものなので、治療を中断してしまった方は早期に再開することをおすすめします。