インプラント治療前のブラッシング指導は大事!その理由とは?

インプラント治療において事前に丁寧なブラッシング指導を受けておくことは非常に重要です。治療の成功率を大きく左右するので、ブラッシング指導の重要性についておさえておきます。

なぜ大切なのか、どのような効果が期待できるのかについて解説します。また、正しいブラッシング方法も参考にしてみてください。

インプラント治療前のブラッシング指導が大事な理由

インプラント治療前には丁寧なブラッシング指導が行われます。これは、口内で発生する様々なトラブルを予防するためです。

口内でのトラブルとして虫歯や歯周病が挙げられますが、これらは細菌感染によって発生しています。虫歯や歯周病は歯を失う大きな原因であり、これらによって歯を失いインプラントにすることになった方は先にブラッシングを改善し、口の中の状態を整えることが重要です。

正しいブラッシングができていない場合、口内に残った食べかすをエサに細菌が繁殖してしまい、歯を溶かしたり、腫れたりすることがあります。インプラント治療後に発生するトラブルを予防するためにも丁寧で正しいインブラッシングについて理解を深めておくことが重要です。

正しいブラッシングは治療効果の大幅向上につながる

正しいブラッシングにより治療効果を高めるこができます。インプラントの治療前には虫歯や歯周病の治療を行う必要があるのですが、きちんとブラッシングができていれば虫歯は進行しにくくなりますし、炎症などが発生していたとても悪化しにくくなります。

処置後の経過をいち早く安定させることにもつながるので、トラブル対策になるのはもちろん、最大の治療行為でもあるといえるでしょう。インプラント治療を成功させたいと考えているのであれば、ブラッシングの重要性を理解し、しっかりと取り組んでいく必要があります。

正しいブラッシング方法とは

歯科医院でもブラッシング指導を受けることができますが、基本についておさえておきましょう。正しいブラッシングの方法について解説します。

ブラッシング回数

日に何回ブラッシングをするかよりも、きちんと汚れを落とすことができているのかのほうが重要です。例えば、食事のたびにブラッシングをしていたとしても、ブラッシングの仕方を間違えていて汚れを落としきれていないのであれば、意味がありません。

一日に1回しかブラッシングができなかったとしても、その際に汚れを落としきることができているのであれば大きな問題はないとされています。最低でも一日1回はしっかり磨くようにしましょう。もちろん、時間的な余裕があるのならば食事の日に磨くのが理想です。

ブラッシングのタイミング

食後すぐの段階は口腔内が酸性に傾いていて、この状態でブラッシングをすると歯が削れやすくなってしまうので、口腔内の状態が落ち着く食事の30分~1時間後を目安にブラッシングしましょう。特に重要なタイミングとされているのが、寝る前のブラッシングです。唾液には口の中を中和する働きがあるのですが、寝ている間は唾液の分泌量が少なくなってしまうため、細菌が活動しやすい状態になります。

そのため、寝る前にしっかりとブラッシングして口の中の汚れを落としておきましょう。できれば鏡を見ながら一本ずつ丁寧に磨いてみてください。

正しい磨き方

歯の表面を磨く際には、歯ブラシを横にして磨くようにしましょう。小さめのヘッドの歯ブラシを使うと細かい部分までしっかり毛先が届きやすくなります。ヘッドが大きいと奥歯をきちんと磨くはできないので注意が必要です。

歯と歯の間を磨く際には、歯ブラシを横に動かすのではなく、歯の溝に沿って汚れを掻き出すように縦に磨きます。しかし、歯ブラシのみで歯と歯の間をしっかり磨くのは難しいため、歯間ブラシや糸ようじ、デンタルフロスなども活用してみてください。

または、歯と歯向きの境目部分もよく磨くようにしましょう。歯周ポケットと呼ばれる境目の溝部分に汚れがたまりやすいので、歯ブラシを斜めにして毛先を入り込ませて磨きます。

歯磨きをする際、力を入れる必要はありません。ペンを持つ時のように軽く歯ブラシを握り、ヘッドを細かく動かして磨きましょう。よく磨けるような気がするからと硬めのブラシを選択する方がいますが、口腔内に特に問題が発生していないのであれば、普通の硬さをおすすめします。

また、歯周病などを歯茎にトラブルが発生している場合は、やわらかめの歯ブラシを選択しましょう。様々な歯ブラシがあるので、自分に合ったものがわからない場合は、歯科医院で相談することをおすすめします。

インプラントに合った歯ブラシの選び方

正しいブラッシング方法を実践するためには、インプラントに合った歯ブラシを選ぶことが大切です。歯ブラシの選び方のポイントを見ていきましょう。

電動歯ブラシを選ぶ

まず通常の歯ブラシを使っている方は、電動歯ブラシに切り替えられてみてはいかがでしょうか。調査によるとインプラント治療を受けた方が10本の毛束がある反復回転式電動歯ブラシを使ったところ、歯肉炎やプラークの量が改善されたとの報告がありました[1]。また音波式電動歯ブラシにも出血やプラークの改善効果が見られたとのことです[1]。

一般的な電動歯ブラシでは高い効果は期待できませんが、反復回転式電動歯ブラシ・音波式電動歯ブラシはインプラント治療後に適していると考えられます。

毛がやわらかめでヘッドが小さい歯ブラシを選ぶ

通常の歯ブラシを使う場合は、毛がやわらかめでヘッドが小さい歯ブラシを選ぶようにしてください。毛が硬すぎると歯茎やインプラントを傷つけてしまうことがあり、ヘッドが大きいと磨き残しが発生しやすくなります。

また持ち手が真っ直ぐな歯ブラシの方が持ちやすく、ブラッシングしやすいのであまりに特殊な形状の歯ブラシは避けた方が良いでしょう。

正しく磨けているかのチェックポイント


インプラント治療前後に適切な歯ブラシを使い、ブラッシング指導を実践したなら、正しく磨けているかチェックしてみるとご自身のブラッシングの正しさが判断できます。以下のチェックポイントを意識し、ブラッシングの正しさを確認してみてください。

歯垢が残っていないか

まずは歯垢が残っていないかプラークチェックを行いましょう。手鏡で口内が見えるようにして、歯と歯肉の間、そして奥歯の周辺をよく観察します。

もし該当の箇所に乳白色のネバネバした歯垢がこびりついていたら、歯垢の残っている場所が磨き残しです。ブラッシングが十分行き届いていないため歯垢が落ちきっていないと判断できるので、次回からのブラッシングでは歯垢が残っている部分をさらに重点的に磨くようにしてください。

歯石が残っていないか

次にチェックするべきなのは歯石の有無です。歯石とは一つ前の項目で解説した歯垢が唾液と反応を起こし、石のように硬くなってしまった物質のことを指します。つまり常に磨き残しやすい部分に歯石が蓄積されるということです。

同じように手鏡を使って口内を確認し、歯と歯肉の間や歯の裏側に硬い物質が確認できたら歯石の可能性が高いでしょう。もしくは手鏡を使わなくても、舌で歯の表面をなぞったときにザラザラとした感触があれば歯石が残っていると考えられます。

歯石はご自身で除去するのは難しいので歯科医院にて除去してもらうことになりますが、歯石が多くこびりついていた部分は以後、重点的にブラッシングするよう心がけましょう。

歯垢染色剤で判別する

手鏡で口内をチェックするよりも簡単なブラッシングチェック方法が「歯垢染色剤」を使うことです。歯垢染色剤とは歯垢が残っている部分を赤く染色する薬剤のことで、小学生のころに学校で使ったことがある方も多いと思われます。

歯垢染色剤は市販品としても購入できるため、ご自身でチェックされる方法もありますが、同様のチェックを歯科医院でしてもらうこともできます。色で歯垢の残り具合を確認することは大変わかりやすいので、ブラッシングに不安がある方はぜひ歯垢染色剤を試してみてください。

歯科医院による定期メンテナンスも活用しよう


インプラント治療前に受けるブラッシング指導のとおりに歯みがきをしても、完全に歯垢を落としきることは難しいかもしれません。そのため定期的に歯科医院でのメンテナンスを受けることを忘れないようにしてください。

インプラント治療後の定期メンテナンスはインプラント周囲炎の予防に役立ち、結果的にインプラントの寿命を伸ばすことに繋がります。またインプラントの保証条件には「定期メンテナンスを受けること」が課されていることが多く、万が一のトラブルの際にも役立つはずです。

歯科医院の定期メンテナンスでは、歯垢や歯石の除去だけでなく歯と歯茎のチェックや噛み合わせの調整、歯を健康に保つための生活指導も受けられます。インプラント治療前のブラッシング指導を実践しながら定期メンテナンスを受けていれば、トラブルが発生する確率も低くなりインプラントを長く使い続けられるようになるはずです。

歯科医院での定期メンテナンス内容についてさらに詳しく知りたい方は、『インプラントのメンテナンス方法!歯科医院で受ける場合と自宅で行う方法を紹介』で解説していますのでこちらのページを参考にしてください。

インプラント治療前に正しいブラッシング指導を理解する

実際にインプラント治療前には、丁寧なブラッシング指導が行われます。毎日行うブラッシングではありますが、ほとんどの方が自己流で磨いており、正しく磨けていない方も多いです。

磨き方でわからない事があったり、うまく磨けない部分があったりする場合はブラッシング指導を受ける際に相談してみましょう

[1]

参照:関野愉,西村紳二郎,久保田義隆 ,沼部幸博 「インプラント治療患者における電動ブラシの効果」,『バイオインテグレーション学会誌』第8巻7-11頁